森のバロック (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社 (2006年11月10日発売)
3.69
  • (13)
  • (24)
  • (27)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 366
感想 : 20

南方熊楠について書かれた本です。とは言っても、南方熊楠の伝記というわけではありません。熊楠の生涯に触れながら、熊楠がそのときどきで、何を体験し、何を考え、何を伝えようとしていたのか、そういう点を掘り下げて行こうとされています。さて、南方熊楠とはいったい何者だったのでしょうか。いまで言う文化人類学についても考えていたようですし、いわゆる民俗学的な研究もしている。さらに粘菌を調べたりもしている。写真を見る限りでは存在感のある不思議な人物です。私と熊楠との出会いは30年ほど前で、暗黒舞踏の白虎社(いまでも活動しているのだろうか)主催合宿に参加したときのことです。主宰者の大須賀さんが、「ミナカタクマグス」を知らないのか?と言っていました。私の頭は「・・・」人の名前とも思えなかった。そう、合宿をしたのも熊野の山奥の廃校でした。(熊楠は熊野で粘菌を調べていました。)それ以降、気になって熊楠についてかかれたものを少しは読んでいたのですが、どんな思想を展開していたのか、じっくり考える機会はありませんでした。では本書を読んでよく理解できたかというと、それも全く自信はありません。(燕石の話しのあたりまではなんとなくついていっていたのですが、仏教の話が多くなるとさっぱりイメージできなくなりました。)ただ現在にも通じることを、早い段階で考えていたのだろうということだけは伝わってきます。ミナカタクマグスの思想を現在によみがえらす必要があるのでしょう。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 中沢新一
感想投稿日 : 2015年4月13日
本棚登録日 : 2015年4月13日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする