日本人と心理療法―心理療法の本〈下〉 (講談社プラスアルファ文庫)

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感想 : 4

上巻に比べるとずいぶん読みやすかったと思う。具体的な話が多かったからだろう。臨床心理学を日本に取り入れていくときの苦労が語られている。今では常識となっていること、たとえばカウンセリングは場所と時間を定めて有料で実施するというようなこと、が初めの間はなかなか受け入れられなかったことが分かる。京大教育学部における臨床心理学教室は最初、山中康裕先生と2人で始められていたということも分かる。80年代初頭であろうか。私自身、たしか92年に筑波大学の大学院を受験しているが(しただけ)、当時はもう心理学と言えば臨床というイメージが私の中にはあった。たぶんそれは勝手な印象だったのだろう。臨床心理士の資格制度がしっかりできたのは21世紀に入ってからであっただろうか。(調べてみると1988年には免許番号第1号が誕生。専門の大学院が設置され始めるのは2005年ころのようだ。)河合先生自身、学部生には、臨床経験を持たせるよりも、実験心理などもっと科学的(そう書かれていたと思う)な教育を行うべきと述べられている。それと、小説なども通して人間のことをしっかり知ることが大切とも。ところで、これは今までどこにも書かなかったと思うが、村上陽一郎先生が、科学思想史の講義の中で、どういう文脈でだったか全く記憶にないのだが、「ユングだけはやりなさんなや」(といったような表現だったと思う)とおっしゃっていたのが強く印象に残っている。80年代半ばのことである。きっとそういう時代だったのだろう。その後、河合先生とは一緒に音楽の演奏をされたりする仲になっていらっしゃるはずだが。

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カテゴリ: 河合隼雄
感想投稿日 : 2017年8月11日
本棚登録日 : 2017年8月11日

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