素晴らしいアレキサンダーと、空飛び猫たち (講談社文庫)

  • 講談社 (2000年8月10日発売)
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感想 : 32

背中に翼があり自由に空を飛び回る猫たちがいました。都会で生まれたその猫たちは人目を避けて、お母さんとも離れて、田舎の平和な町に移り住みました。そこへ、迷子になったふつうの子猫が登場します。アレキサンダーです。その子猫は木の上に上ったきり下りることができません。そこを、空飛び猫に見つけてもらい助けてもらいます。助けてくれた空飛び猫は、以前非常にこわい目にあっていたためことばを話すことができなくなっていました。(猫たちは人とは話せませんが、自分たちのことばで話しています、もちろん物語の中で。)アレキサンダーは助けてもらったお礼にと、その話のできない空飛び猫の話を何とか聞き出そうとします。猫が何とカウンセラーの役目を果たしているのです。本書は空飛び猫シリーズの3作目です。私は特に猫が好きというわけではありません。やはり、村上春樹さんが翻訳をしているために続けて読んでいます。訳者あとがきや訳者注によると、かなり猫についての描写はくわしいようです。猫を飼っている人などが読むと、きっと、そうそうそういうことよくやる、なんて思えるのではないでしょうか。さてこの猫たち、なぜ翼がはえたのでしょうか?人が手を加え過ぎた都会。猫たちはそこから自由になりたかったのかも知れません。著者は、便利な生活に慣れ親しんでしまった我々に警鐘を鳴らしているのかも知れません。ステキなイラストといっしょに、3作とも味わってみて下さい。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 村上春樹
感想投稿日 : 2015年11月5日
本棚登録日 : 2015年11月5日

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