鍵・瘋癲老人日記 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1968年10月29日発売)
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本棚登録 : 1186
感想 : 84

とうとうこのエロ爺は死ななかった。もともと映画で「鍵」を見た。なかなかの設定である。これは原作で読まねばと思っていた。主人公の大学教授と思われる人物は自分と同い年である。一回り近く下になる妻の性欲について行けない。しかし、そこに嫉妬を介することで、持続が可能になる。そこに、双方の日記が活躍する。よく考えられた設定である。そして、とめどなく性におぼれていく主人公は妻の上で死ぬ。私と同じ年齢である。後半の老人日記。こちらはもう70歳を過ぎている。息子の妻を溺愛することになる。まわりも認めているのだからまあ許されるのか。その義理の娘に、頸に接吻させてもらう見返りとして、300万だかするキャッツアイを買ってやる。大きな宝石である。目立つのだ。それを実の娘と妻にとがめられる。そのシーンがなんともほほえましい。しらばっくれることもできず、逆ギレをしている。このエロ爺。最後には、この女の足の形を石に掘ってもらい、それを墓石にすることをたくらむ。死んでもずっと踏みつけられていたいらしい。ああもうたまらない変態爺だ。しかし、憎めない。ところで日記はカタカナと漢字で書かれている。実に読みにくい。しかし、少しスピードは落ちるものの、内容に魅かれて最後まで読み通すことができた。まあ慣れるものである。そういえば、昭和1ケタ生まれの父も、カタカナと漢字で日報を書いていた。70歳を過ぎてから、趣味の進捗を記録する日報だった。きっと、教育がそうさせたのであろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 谷崎潤一郎
感想投稿日 : 2021年2月25日
読了日 : 2022年9月30日
本棚登録日 : 2020年7月26日

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