走れメロス (新潮文庫)

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レビュー : 514
著者 :
takumi2017さん  未設定  読み終わった 

2017.7.22
太宰が晩年、落ち着いていた時に書かれた名短編である。思えば私は、自らを「人間失格」と思いながら、しかし「メロス」であることを求めていたように思える。だから太宰が好きなのかも知れない。
信じられているから走る、もはや間に合うか間に合わぬかは関係ない、私はもっと大きな何者かによって走っている、というこの感覚。現代に失われているのものではないだろうか。できるできないは問題ではないのである、人間にとって大事なものに対して。それはこの表現の通り、語ることができない、形がないにもかかわらず、それに反して確信の強いものである。こういうものが、私は欲しかった。本物は、心が最も動く動因というものは、言葉で語れるものの向こう側にある。それは言葉足らずなのではない。語るという方法そのものでは掴めないものなのではないだろうか。語るという方法をどれだけ極めても、その延長線上にはないものなのではないだろうか。
そういう心の真実を、美を、最近はよく考える。そこに人間の、生きることの価値や意味の感覚のヒントが、あるように思える。

レビュー投稿日
2017年7月30日
読了日
2017年7月20日
本棚登録日
2017年7月20日
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