久々の奥田英朗作品をKindleで。
噂の女こと、糸井美幸を軸に、10のエピソードを連ねた連作短編集。
いわゆる悪女モノだが、その張本人は頻繁には登場しない。
基本的には糸井美幸に翻弄される周辺の人々の物語であり、それらの
点が線になる構成。舞台は一般的な地方都市(明言されていないが、
方言の具合から名古屋・岐阜方面?)、つまりは田舎。僕は実体験に
乏しいのだが、地方にありそうな癒着や利権、果ては生活に至るまで
を、皮肉たっぷりに表現するあたりが小憎らしい。
そして糸井美幸というオンナの存在が実にリアル。
高校までは大人しかった女性が短大入学と同時にメイクや服装が派手
になり、20歳で地元に戻った段階で注目の的、という設定は、割と
そこらへんに転がってそうなお話。絶世の美女、というワケでは無い
が、妙に色っぽくて男好きのするオンナ、というのは、通常の男性諸
氏ならば絶対にピンと来る筈。具体的に言うと、大井町あたりのキャ
バクラのNo.2くらいで、もしかしたら口説けるかも、というレベルの
女性を想像するのが良いかと。そういうオンナがいちばんタチが悪い
んだ、実際(^^;)。
ということで、男性であればイチイチ納得しながら読めること請け合
い。ラストまでぶれない展開だから、ちょっとした清涼感すらある。
噂の女、恐るべし!
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
サスペンス
- 感想投稿日 : 2015年7月23日
- 読了日 : 2015年7月17日
- 本棚登録日 : 2015年7月23日
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