さよならの手口 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋 (2014年11月10日発売)
3.79
  • (6)
  • (15)
  • (11)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 109
感想 : 14
5

若竹七海、女探偵・葉村晶シリーズ第三弾。
またもや順番を間違えたらしく、第二弾を読む前にコッ
チを読んじゃったのはご愛嬌、ということで。

こちらは長編。「依頼人」ではギリギリ20代だった主人
公・葉村晶も介護保険の徴収対象に(^^;)。環境も完全に
現代になっており、この年代の女性らしく近代機器(^^;)
のスマホ操作に四苦八苦。探偵は一時休業しており、現
在の立場はミステリ専門書店のアルバイト。シェアハウ
ス住まいの独身、というのが初期設定。

書店でのアルバイト中、文字通り「降ってて沸いたよう
な不幸な事件」に巻き込まれ、入院したのが運の尽き(^^;)。
同室の老婆から調査を依頼され、渋々ソレに首を突っ込
んだところ、これがあまりに深い事件で・・・といった内容。

とにかく感心したのは、ありとあらゆるミステリの手法
が百科事典の如く登場してくること。そして長編らしく
伏線も随所に散りばめられ、ラスト近くでほぼ一気にそ
れが回収されている、という、ミステリファンにとって
の「爽快」を感じさせてくれる物語。決して大ハッピー
エンドではなく、扱われている事件もやや暗めなのだが、
前述の通り読後感は決して悪く無いのだから凄い。

短編で感じた「中途半端さ」は見事に消え、全てがスッ
キリするミステリーの王道と言って良い内容。このシリ
ーズ、僕にとっては“長編≧連作短編”なのかもしれな
い。

こうなったら順番関係無く、しばらく葉村晶にハマって
みるつもり。取り敢えず、次はどれにしようかな?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2018年1月27日
読了日 : 2018年1月20日
本棚登録日 : 2018年1月27日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする