“象徴(シンボル)形式”としての遠近法 (ちくま学芸文庫)

  • 筑摩書房 (2009年2月10日発売)
3.80
  • (6)
  • (8)
  • (4)
  • (0)
  • (2)
本棚登録 : 194
感想 : 4
5

著者のE・パノフスキーはカッシーラーの「精神的意味内容が具体的感性的記号に結び付けられ、この記号に同化されることになる」という「象徴形式」に基づき、芸術作品から観取される特定の視覚構造を時代の精神形態の反映(象徴形式)として系統づけようとしたイコロジー(図像学)を確立したことで知られている。

現代でも「普遍的」な視覚的構造として考えられ勝ちである「(透視)遠近法」が、実は西洋ルネサンス期を起点として発展する近代の精神構造(モダニティ)に特有の「理念的システム」に他ならなかったということを解き明かす。

遠近法の発見は、「神的」視点の「人間化」であったし世界の「脱呪術化」、「世俗化」であった。理念的には無限的、均質的、計量可能となった空間そして時間は、科学技術の爆発的進化とともに人間活動一般の経済化へと結びつく。これは人間社会の「近代化」への飛翔への第一歩であったのだ。

この点、パノフスキーが解き明かした視覚構造の近代化は、単なる西洋近代絵画の成立という契機を超えて有り余る。この意味で本著は我々の世界の成り立ちを考察極めて示唆に富んでおり、思想史上においても重要な位置を占めているのである。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年6月21日
本棚登録日 : 2012年6月21日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする