売国奴の持参金 (角川文庫)

  • 角川書店 (1993年1月8日発売)
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マクレディ四部作(といっても原書では一冊の本なのだが)の第二部。意に沿わない人事異動への異議によって開かれた聴聞会で回想式に語られるのは第一部 「騙し屋」 と同じ。今回は敵の放った"トロイの木馬"による偽情報を、どうマクレディが暴いていくかが見所。

英国の招待によって軍事演習を視察に訪問中の将校団の一員だったオルローフが、アメリカへの亡命を希望する。これによって騒動は始まる。当然CIAは何か裏があるのではないかと疑い、慎重に尋問を進める。しかしオルローフの証言は徐々にCIA長官の信頼を勝ち取っていく。それに対してマクレディはオルローフへの疑いの目を捨てようとしない。彼はソ連KGB内部に運営する"資産"を切り札として持っていたのだ。

亡命希望のスパイの価値は持ってきた情報すなわち"花嫁の持参金"によって決まる。しかしそこには敵の仕掛けた罠があるかも知れない。オフローフは本物か?偽物か?彼の真の狙いは何なのか?騙し騙されの諜報の世界でおのれを信じ、果敢な作戦でオフローフとの一騎打ちに挑むマクレディ。緊迫感が読者をとらえて放さない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: スパイ小説
感想投稿日 : 2023年9月8日
読了日 : -
本棚登録日 : 2010年9月1日

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