「修善寺の大患」と呼ばれる大喀血、そして三十分の死。その前後、夏目漱石は何を思い、どんな風に過ごしていたのか。療養生活を振り返りながら諸処の想いを綴った随筆。ほか「子規の画」「変な音」「三山居士」等随筆を収録。
以前文庫に収録されていたものを読んだのですが改めて読書。毎年年明け付近には読んでるので。久しぶりの漱石だったのですがやはり筆致が素晴らしいし、どんな些細なことでも含蓄深い。思っていたよりスイスイ読めました。時折挟まれる俳句と漢詩もいい味を出しています。晩年は漢詩が多い漱石ですがこの頃から漢詩多めです。
個人的には人生の悲哀と煩悶にいつも苦しんでいる小説が多いので漱石もなんかいろいろ小難しく考えて苦しんでるような人なんだろうなあと、漱石についてそれなりに勉強してるし愛もあるのにそれはないだろwって印象を持ってるんですけど、自分のために看病してくれたりわざわざ東京から来てくれた人に対してものすごく感謝してたり、この人達のために生きたいと書いていたりする。「ああ、ほんとはこんなにまっすぐに想いを述べられる人なんだ」と、その文章に胸打たれて思わず泣きそうになりました。そういうの多かったです。やっぱ読み応えすごい。
ほかの収録作品でもそうです。「三山居士」は寂しさの余韻がいい。「子規の画」も好き。いろいろ書きたいのですが長くなるので。次は八犬伝読書でふつーの読書ちょっとおやすみします。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
純文学
- 感想投稿日 : 2011年1月24日
- 読了日 : 2011年1月31日
- 本棚登録日 : 2011年1月14日
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