エクサスケールの衝撃

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  • PHP研究所 (2014年12月18日発売)
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レイ・カーツワイル氏が「ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるとき」で提唱している特異点(シンギュラリティ)について、エクサスケールのスパーコンピュータがそのカギを握っているとして電力を中心としたエネルギー、衣食住やお金そして生命の未来についてついて考察する600ページを越える大著です。蓄電池や太陽光発電など現在の技術がここまで来ていると説明しての展望や元々医者である著者が死因を分析しての長寿化の話などはとても説得力があるのですが、その先となるエネルギーを始めとして衣食住が無料になるとか不老不死の展開になるとエクサスケールのスパーコンピュータがあれば解決するとの言説に持っていかれるところがいまひとつ釈然としません。本書の抜粋版 である「プレ・シンギュラリティ 人工知能とスパコンによる社会的特異点が迫る」でも思ったことですが、そのエクサスケールのスーパーコンピュータで動かすソフトウェアについて言及されていないのが、いまひとつ信憑性を欠くように思えます。と言いつつも今確実に見えているところに到達すると次が見えて来る事が多々あるので、未来について考えるにはとても勉強になる良書です。あと、長期海外滞在者によくある日本は素晴らしいの連呼がやや鼻につきました。
※2011年11月時点での世界最高のスーパーコンピュータ「京」は10.51Peta フロップス(1秒間に倍精度の浮動小数点演算が何回行えるかを表すコンピュータの演算性能単位)、その「京」の100倍である1000Petaすなわち1Exaのスーパコンピュータを開発して2020年に稼動開始と理化学研究所が発表している。

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感想投稿日 : 2017年7月9日
読了日 : 2017年7月9日
本棚登録日 : 2017年7月9日

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