航海図や船の各部の名称などが載っている割に、海洋冒険ものの部分は前半だけ。
幽霊船はあの有名な「さまよえるオランダ人」です。
この船がいかにして永遠に海をさまよう呪いをうけたか、が全体の3分の1。
主人公の少年はこの船に乗っていたわけです。
生まれつき口がきけなくて母親を亡くし、継父と義理の兄弟にいじめられた少年は、
ある晩逃げ出したのですがたどりついたこの船はとんでもないところだったんです。
嵐の中狂っていく船長が印象的です。
そうして船は呪われ、少年と犬が海原に放り出される。
天使の祝福を受けて彼らは助かり、世界中を旅するはめになります。
天使の祝福……永遠の若さと、智恵と、言葉。
少年は喋れるようになり犬とも会話ができるようになります。
天使の声に導かれ、旅をするのが残りの3分の2です。
でもなんだか少しせつないです。
彼らはたったひとりじゃないけれど、たちどまることは許されない。
旅を終わらせることができないなんて……そちらのことばかり考えてしまいました。
続編は海賊船の話だということなのでもしかしたら純粋に話を楽しめるかしら?
第50回産経児童出版文化賞入選作。
装画 / Michael Koelsch(2001)
装幀 / ハヤカワ・デザイン
ハリネズミ・キャラクター・デザイン / 小竹 信節
さし絵 / Ian Schoenherr
原題 / "CASTWAYS OF THE FLYING DUTCHMAN"(2001)
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
2004
- 感想投稿日 : 2004年8月21日
- 読了日 : 2004年8月21日
- 本棚登録日 : 2004年8月21日
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