道然寺さんの双子探偵 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2016年6月7日発売)
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本棚登録 : 399
感想 : 37
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“珈琲店タレーラン”シリーズの作者による、福岡県のお寺が舞台の日常ミステリ。
道然寺の若和尚・窪山一海(くぼやま いっかい)の周りで起きるさまざまな謎の出来事を、中学生の双子・姉のランと弟のレンが推理する。
一海は、真面目で考えも深いし、ちゃんと若和尚を務めているのだが、何かといじられてトホホな感じ。
お人好しだからか。

双子は、寺に捨てられていたという過去を持つ。
そのせいか、レンは物の見方もシニカルで、人間の行動をナナメに見るきらいがある。
ランは逆に、性善説にのっとって推理する。
物の見方が逆ならば、推理も真逆。
反対から光を当てることで、見えなかったものが見えてくるのが面白い。

人気シリーズを持つと、“○○の方が良かった”などと言われがちだが、この作品は、一海さんのフラットな視線も良いし、双子や、お手伝いさんのみずきのキャラも良い。
加えて、お寺という舞台は様々な人間模様が垣間見られそうだし、たくさんの檀家さんともかかわるし…シリーズとして続いてほしい気がします。
キャラ達の、この後の成長を見たいです。

第一話 寺の隣に鬼は棲むのか
資産家のお葬式で、香典袋の中身が無くなる。
若い後妻は、受付のお手伝いさんを疑うが…

第二話 おばあちゃんの梅ヶ枝餅(うめがえもち)
商店の子に生まれたことへの複雑な思い。

第三話 子を想う
水子供養をしたから新しい子を授かった、と吹聴する若い主婦の真意は?

第四話 彼岸の夢、此岸(しがん)の命
彼岸の入りの日、一海と双子たちの夢枕に女性が立つ。
見知らぬ人が伝えたかった願いを解く。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年9月19日
読了日 : 2018年9月19日
本棚登録日 : 2018年9月19日

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