八月の六日間

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本棚登録 : 1574
レビュー : 262
著者 :
制作 : 謡口 早苗  大武 尚貴 
tamazusa_doさん  未設定  読み終わった 

人はなぜ山に登るのだろうか?
「そこに山があるから」という、有名すぎる、哲学的な言葉ではなく、ひとりの「私」が、山に登る理由…
自然に触れてストレス解消?
体にいいから?
同じ趣味の仲間を作りたい?
登りきったら達成感?
頂上を極めたら征服感?

四十路を迎えたベテラン編集者の「わたし」は、責任ある仕事に誇りを持ちつつも、ストレスや重圧で体調が思わしくない。
実は、数年前に別れた男の事も胸の奥底に滓のように沈んでいる。
「明日。山、行きませんか」
同僚の藤原ちゃんにある日突然誘われて、「わたし」の山人生が始まった。

いつもの北村さんの女性キャラは、セリフ回しが独特でちょっとクセがあると感じるのだが、この作品はまるで、リアルに「わたし」が書いているよう。
昔のままに覆面作家を続けていたら、この作品を持って読者の多くが、「ほらね、絶対に女のひとだってば!」と断定するのではないかと思った。


『九月の五日間』
槍ヶ岳。
羊羹一本持ち歩く「香嚢鹿」さんとの出会い。

『二月の三日間』
ストレスで円形脱毛症に…
裏磐梯。
亡き友を思ったり、童心に帰ったり。
ガイドさんやインストラクターもいろいろなタイプの人がいる。

『十月の五日間』
「副」が取れて「編集長」に昇進。
現場から遠ざかるようで少し寂しい。
昔の男の風聞にも心乱れる。
上高地。
おぼろに通り過ぎた風景を味わい直したい。
山のベテランの忠告にへそを曲げるが、結局は彼の言うとおりだった。
岡田さんが繋ぐ、香嚢鹿さんとの縁。

『五月の三日間』
天狗岳。
五月の雪と雷、賽の河原。
ゴールデンウィーク明けにご注意。
特急「あずさ」は歌の時代とは変り、今は上りが偶数番号である。

『八月の六日間』
ロングビーチと山の稜線。
避けられない一本道での男と女。

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「わたし」は、山歩き中、よく、体力の限界を感じたり、具合が悪くなったり、命の危険にさらされたりする。
体も心も極限まで追いつめられる。
そこまで体をいじめて、なぜ山に登るのだろう…
『解脱』…かな。

レビュー投稿日
2017年2月10日
読了日
2017年2月10日
本棚登録日
2017年2月10日
5
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