去年の雪 (1)

  • KADOKAWA (2020年2月28日発売)
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スクランブル交差点の真ん中に立っているようです。
私の前後左右斜めをいろんな人が通り過ぎて行きます。
私は特殊能力を持っていて、人々の考えていることが聞こえ、人生の一部が見える。
人々に私は見えないし、体は通り抜けることができます。
そんな感じの本。

去年の雪はどこに行ったのか。

そこに無いものと、残ったもののお話。
人が消えて香りが残ったり、肉体が消えて意識が残ったり。

消えたように思えても、そこにあったという事実は消えない。
ただ、人が思い出さなくなっただけ。
見なくなっただけ。

この人とこの人。
相手はこんなふうに思ってたんだな、この人の相手はこの人だったんだ?と気づくと面白い。

この人はこの人の生まれ変わりなのかもしれない、と思ったり。

双子が何組も出てくる。
双子同士はシンクロしている、とよく言われるけれど、双子の間だけではなく、交信能力そのものが高いのだろうか?

子供はたいがい退屈している。
夫婦や恋人はたいがいすれ違っている。
不倫はたいがい体の関係の為にある。

本好きな人も出てくる。
本の中には過去の記憶が隠されている。
「それ」が「あった」証拠だ。

身近なものが突然、見え方を変える瞬間。

そう

無くなったものは姿を変えただけかもしれない。
つまんないことを言えば、溶けた雪は水になり、蒸発して大気に溶け込んだのです。


小説を読む時には、登場人物のプロフィールや簡単な人物関係などをメモしておきます。
あとで「どんな関係の人だったっけ?」にならないようにです。
大体はすぐに終わって、あとはポツンと、途中登場する人物が居るくらい。

そのつもりで、メモしながら読んでいたら、あれ?
いつまで経っても終わらない。

玉葱か?
私、玉葱むいているのか?
さても、大きな玉葱であった事よ!
もうちょっと先が知りたい人たちもいたなあ〜
規那と柳のお話。
あと、カラスが気になる。
カラスだけは、自由にあっちとこっちを行き来できるのではないかと疑っています。
だって、カラスだし。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年12月24日
読了日 : 2020年12月24日
本棚登録日 : 2020年12月24日

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