([ん]1-4)明日町こんぺいとう商店街 (ポプラ文庫 ん 1-4)

  • ポプラ社 (2013年12月5日発売)
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スカイツリーを見上げる下町の片隅にある、架空の商店街。
大山淳子氏の「あずかりやさん」がとても良かったので、"出身地"である、こんぺいとう商店街のことをもっと知りたくなりました。

個人商店が立ち並ぶ商店街は、現代では衰退の傾向にあるけれど、こんぺいとう商店街は、たたむ店あり、新しくできる店ありで細々と続いている。
家業を継いだ若者や、出て行ってまた戻ってきた者、新しい商売の形、幼なじみと小さな恋の話など、懐かしい雰囲気の中で語られる。
後に行くにしたがって、他の商店の名前が登場するようになって、箱庭世界が充実していくのが面白い。

一軒目『カフェ スルス』 大島真寿美
ほぼ還暦世代の演劇仲間が集まって、カフェを開くことになる。
バイトで食いつないで来た者ばかりなので、即戦力!
「スルス」はフランス語で「泉」
ちょっとお洒落なカフェができたと、なかなか繁盛。

二軒目『あずかりやさん』 大山淳子
一日100円で何でもあずかる、あずかりやさん。
開店のきっかけになった男が桐島透にあずけた物と、盲目の店主に本を点訳してくれる女性、少年に託された茶色いかばんの中身。

三件目『伊藤米店』 彩瀬まる
「米屋の息子がいい男になって戻ってきた!」と、桐子の周りで話題になる。
なんと、かつての同級生、「野球部の伊藤くん」だった!
おいしいおにぎりと、ひと時の幻想。

四軒目『チンドン屋』 千早茜
テレビが普及してCMがかかるようになるまでは、「チンドン屋」は貴重な宣伝手段だった。
今毘羅屋清治郎が語る、チンドン屋、今昔。

五軒目『三波呉服店――2005――』 松村栄子
着物を着る人が少なくなって、由緒ある呉服店も、卒中で後遺症が残る店主が帳場を守るばかり。
そこへ吹く新しい風と、人間国宝が染めた辻が花の着物の由来。

六軒目『キッチン田中』 吉川トリコ
「ヒナギク生花店」の娘・ひな菊が胸に秘める、「キッチン田中」のシェフ・修(おさむ)への思いのゆくえ。

七軒目『砂糖屋綿貫』 中島京子
砂糖屋の二階に下宿した、浅木耕太が見る、大家・綿貫徳次郎のシルバー・ライフと、耕太の後輩・キズナの謎の行動(耕太にとって)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年1月4日
読了日 : 2018年1月4日
本棚登録日 : 2018年1月4日

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