広島平和記念資料館は問いかける (岩波新書 新赤版 1861)

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  • 岩波書店 (2020年12月21日発売)
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本の題名のとおり、読み始めた最初からたくさんの問いかけが列挙、つまり、並びたてられる。並ぶのではない。
最初は今はやりの語られ方かと思ったものの、読み進めるうちにそれぞれ小さな問いかけが大きな問いかけと関連付けられているように、いや、読者の私が勝手に関連付けて読んでいるだけなのかもしれないけれども。

物が存在しないところにある何かを物を通して考えること/考え続けること、(その人は、その人々は、その街は)もはや存在しない、ということに思いをはせることが記念資料館に求められていることなのか。記憶を残すことが、今、この記念資料館の求められている(現在進行形の)役割といえよう。

私は広島平和記念資料館には行ったことがない。
高校生のとき長崎の原爆資料館に行く前に学校で記録映画を見た。そこで見た凄惨な映像や語りを実はほどんど覚えていない。多分、被爆者の方の語りもあったはずだ。ただ憶えているのは友達が泣いていたことだ。私は泣かなかった。高校生なのになぜ泣いているのだろうと思った、ことだけを憶えている。長崎に行って、強く印象に残ったのはバスの車窓から見た浦上の如己堂だ。
そこに行かなかったことをあとからひどく後悔したのと、偶々図書館で借りた「この子を残して」が重く、かつ、鮮烈だったこととも関連している。
赤茶けたひどく古い本で、読みながら、なんとも、怖くなって、私にとっては自分の部屋に置いておけなくなるほどだった。

大人になって石内都さんの写真展を見たことをこの本を読んで思い出した。そして、この本の最後のページにある写真に心打たれた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年3月18日
読了日 : 2021年3月18日
本棚登録日 : 2021年3月18日

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