核戦争か何かで破壊し尽くされたどこかの地、曇天と灰によって氷河期へ向かう中であてどなく南へ歩む父と子のポストアポカリプス小説です。
読了後に残るものは感想というよりも色彩で、始終が灰色でした。
視点が逐次変わり行動と台詞が混ざっている部分が多いのは、物資の枯渇や略奪による恐怖で余裕なく彷徨う状態を描くための技法でしょうか。
切羽詰まった感じや混沌は伝わってきますが、それ故にしっかり読み進めないと理解が難しい作品でした。
人間が口にできるものが無い中で何が起きるのか…、人肉を食べるしかなくなった世界が広がっています。
父は子を殺しからではなく食されないように他人から守っているのです。
未来の世界にこんな動物的な生き方があって良いのでしょうか、読んでいてとても辛い。
後世にこんな世界を用意してはいけないと、現代を生きる我々へ訴えかける一冊。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
文学
- 感想投稿日 : 2020年9月28日
- 読了日 : 2020年9月28日
- 本棚登録日 : 2020年9月28日
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