三四郎

著者 :
  • 青空文庫 (2000年7月1日発売)
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本棚登録 : 62
感想 : 10
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 本書は、主人公の「三四郎」とそれを取り巻く人々が三人称の語り口で書かれている、青春物語である。
 大学進学のために進学した平凡な大学生、三四郎は上京先で「佐々木」や「野々宮」といった人々と交流を深め、「美禰子」という女性に恋をする。不器用な三四郎は劣等感や戸惑いを感じながら、友情や恋に惑わされる日々を送る。
 三四郎の思春期特有のアイデンティティの確立による葛藤は共感せずにはいられない。他人と自分とを比較し、自分の心打ちも他人の心の内がわからなくなる様は誰しもが経験することである。実際に作者である夏目漱石も帝国大学を卒業しており、三四郎と同じく大学生活を過ごしている。作者も物語の主人公と同じく、この年代特有の葛藤に悩みながら学生生活を過ごしたのが見て取れる。また、この物語は三四郎、野々宮、美禰子の三角関係が書かれており、このことから実際に漱石が結婚後も大塚楠緒子という女性を思い続けていたということとつながってくる。思春期の心の葛藤を切なく、そしてさわやかに書かれている小説であった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年10月21日
読了日 : 2020年10月21日
本棚登録日 : 2020年10月21日

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