蟹工船

著者 :
  • 2012年9月27日発売
3.44
  • (17)
  • (52)
  • (59)
  • (16)
  • (3)
本棚登録 : 495
感想 : 72
4

蟹工船に乗り込む漁夫や雑夫達。
生々しい描写で描かれる船上での生活環境・仕事環境。
現代の職業環境からは考えられないほど労働者が酷使されている。そして労働者たちは共産主義の思想に理解をしていないもあこがれを抱く。

モデルとなった船1920年頃のものだそうだ。明治時代が終わり、大正時代に入ってすぐ。
資本主義社会が行き過ぎ、働く労働者からの搾取により利益が積み重ねられていたという事実を改めて思い知らされる。
思えば団体交渉権ともいえる一シーンが出てくる。集団の労働者の強さが見えるのだが、この時代の理不尽さは団体交渉権の力を大きく上回っていた。
ブラック企業というのは現代でもよく聞く言葉だ。昔に比べればマシという話ではない。利益を追求する資本主義を悪いとは思わないが、皆が労働や行動に見合う対価を得られ、幸せに生きれる世界を願いたい。

これは函館から出向した船での話だが、作中には開墾の為入植し餓死した農家のことも書かれている。
北海道に在住しているが、明治時代から開拓されたこの土地にはまさに言葉通りの血と汗と涙がしみ込んでいるのだろう。
道路は整備され、河川も直線化されたことで洪水も減った。泥炭地が多くあり本来は営農に向かないが多くの表土入れにより農業も盛んになった。互助の精神が育まれ独特の文化も多くある土地だ。
北海道開拓の歴史はまだ150年程度の浅いものである。
先人たちの苦労を少しでも感じて北海道で暮らしたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年6月8日
読了日 : 2020年6月8日
本棚登録日 : 2020年6月5日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする