立命館大学文学部の学生だった高野悦子さんが二十歳で鉄道自殺を遂げる直前まで書いていた日記をそのまま出版したもの。今からもう四十年も前の話で、平成生まれのわたしにとってはイマイチぴんとこない時代。政治闘争が激しい時代で、ゲバ棒なんて言葉が流行語になっていた時代。遠い。だけれど、そのこまごまと書かれた内容はいまどきの女の子と変わらない。バイトについて、学校について、好きな男の子について。こうした高野さんの内情がありのまま綴ってある。
わたしが最も重く受け止めたのは、彼女が自分の人生に対してとてつもなく真摯であったということ。彼女のような生き方はもう現在ではスタンダードではない。絶対的価値が崩落してしまったニヒリズムの時代に生きる今の人は、きっと彼女が馬鹿げていると言うだろう。でもわたしは重く受け止めたいと思う。

2011年7月25日

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読書状況 読み終わった [2011年7月19日]
カテゴリ 日本文学

この本を読めば日本のいわゆる近代文学の成り立ちというものが、一通り学べるでしょう。……というのは嘘。ただし、かかわった人物たちの苦悩やら想いやらは感じる。笑いあり涙あり、日本文学盛衰史ここにあり。個人的には啄木のメールの所で腹抱えて笑いました。文学史に詳しければ詳しいほど楽しめるでしょう。

2011年7月17日

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読書状況 読み終わった [2011年7月17日]
カテゴリ 高橋 源一郎

ポップな文章が淡々と、はたまた止まったり速まったりしながら流れていく。軽くて重い。なぜこんなにも心にズンとくるのだろう。
言葉の表情を味わうべし。

2011年7月17日

読書状況 読み終わった [2011年7月17日]
カテゴリ 高橋 源一郎

こんな暴力的で荒々しくて、しかも繊細でポップでノリノリで笑えて泣けて、なによりもオモシロイ本にあったことがない。衝撃。四郎はいい子なんです。三郎も二郎も一郎も。丸雄はわからん。家族に拘泥する四郎。バシバシ推理を展開する四郎。ルパンや警察をこき使う四郎。犯人をぶっ殺す四郎。親父を救う四郎。あーだこーだ文句垂れつつ突き進んでいく様がかっこよすぎて鼻血がでる。
なんでこんなヘンテコな小説に痺れまくってしまったのだろう。わたしにとっては異様に現実に侵食してくる小説だった。
まあ好き嫌いがはっきりする小説だと思う。ミステリのプロットに拘る人、暴力はんた~いな人、硬筆な文体が好きな人、素直な人、なんかには合わないだろう。

2011年7月17日

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読書状況 読み終わった [2011年7月17日]
カテゴリ 舞城 王太郎

大掛かりなトリックや奇を衒った犯罪・推理に目ばかりいくと楽しめないと思われる。というか、そこに本質はないのだが。そうしたギミックが好きでそのためにミステリを読むんだという人はおそらく満足できない。
これは青春小説です。しかも直球ど真ん中の。西村友紀夫くんとルンババくんが大人になっていく姿が、生き生きと描かれてて……なんていうと教養小説みたいな説明になってしまうが、そこは舞城。一味も二味も違う。ポップで笑えて泣けます。そして最高の読了感を得られる。でキャラクターがとてつもなく愛おしい存在に思えますよ。是非。

2011年7月17日

読書状況 読み終わった [2011年7月17日]
カテゴリ 舞城 王太郎

ラゴスという男が旅する物語です。物理的移動だけでなく、ラゴス自身の人生の旅も描く。出会いあり、別れあり、再会あり。旅するラゴスは何を想い、何を目指すのか。筒井作品の中で特に好きな作品です。

2011年7月25日

読書状況 読み終わった [2011年7月17日]
カテゴリ 筒井 康隆

あかんではないか。
阿呆で見栄張でまったくの駄目人間の熊太郎という男が村人を大量に切り殺す物語。というと陰惨・残酷度極まりなく、それこそ現代でいう秋葉原大量殺人事件ではないか、ばかもの、と決め付けるのはちょいと待って一考を。こいつはわたしたちのお話で、つまりは熊太郎は阿呆で見栄張でまったくの駄目な現代人の映し鏡であって、まあ、つまり読めばわかるということだってえことや、な、熊やん。

2011年7月17日

読書状況 読み終わった [2011年7月17日]
カテゴリ 町田 康

綺麗。文章しかり、小説の醸しだす雰囲気しかり。いいなあ、と読了後純粋に感じる。梶井が病に冒されていて自分が短命であると悟りながら書いたのだ、と考えながら読みすすめていくとさらに迫ってくる。檸檬を店に置き去りそれが爆発する、なんていう無邪気な夢想をする彼を想うと、なんだか胸が苦しくなり目頭が熱くなる。美しい小説。

2011年7月25日

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読書状況 読み終わった [2011年7月25日]
カテゴリ 日本文学

中学生の山田なぎさの生活は転校生・海野藻屑との出会いによって変化していく。最後はちょっぴりビターな味に変わる、傑作ジュブナイル小説。現実のハードさに少女が直面する。引篭もりだった彼女の兄も最後に現実へ回帰する。その姿はダサかったり、ほろ苦いものだったりする。ある意味で少年少女たちが大人の世界に敗れ去る姿を描いた物語だ。砂糖菓子の弾丸では太刀打ちできない現実の苦味とぶつかった瞬間というものがよくわかって、なんだか彼らを応援したくなるしとても身近に感じる。小説全体はどちらかというとポップな印象を受けるし、暗さもない。敗北のあと、なぎさは現実に対する諦めを抱くというより、肯定して立ち向かっていこうとしているようで、ほのかな希望も残している。ほんと桜庭一樹は上手い。

2011年7月25日

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読書状況 読み終わった [2011年7月19日]
カテゴリ 桜庭 一樹

TPPを推進しようとしている政治家はこの本に書かれている内容にどう反証するのだろうか。メディアに拡大された価値にわたしたちは従順になり過ぎている。構造改革しかり脱公共投資しかりFTA•EPA•TPPしかり。ワンフレーズポリティクスを疑い、また中身を問うていく姿勢の大切さに気づかされる。オバマが輸出拡大で雇用を増やすと「明確に」うちだしているにもかかわらず喜んで市場を明け渡そうとする危険性。農業問題に無理やり結びつける。国内のデフレにもかかわらず競争力が高い外国企業の安価な生産物を流通させる。
この国は欺瞞に溢れている。

平成の改革? 馬鹿げている。

2011年7月22日

読書状況 読み終わった [2011年7月22日]
カテゴリ 政治経済

なんだかパッとしない小説。読了後もなんだかスッキリしない。別にスッキリするために小説を読むわけじゃなあたのだけれど、ではこの小説になにか他の魅力があるかと聞かれたら答えに窮してしまう。中長編じゃなくせめて短編にしとけばよかったのに。

2011年7月23日

読書状況 読み終わった [2011年7月19日]

危ない客ばかりやってくるダイナーで不幸なことに働かされることになったオオバカナコが主人公の長編ノワール。北方先生と本谷さんの帯文が秀逸なので載せておきます。

「血塗られた食堂。無器用な男女の愛を語るのが、料理だけというのがたまらない。北方謙三」
「平山さんの、人として間違ってるところが好きです。本谷有希子」

まあそんな本です。平山さんはグロばっかではないですよ!

2011年7月25日

憲法の中身を詳述するのではなく、憲法とはなんぞやという根本的な問に対する答えを提示していく。憲法改正論議に参加する前に押さえておかなければならないことに思える。
憲法を理解するためには、他の論題にも多々言及する必要がある。議会政治の成立過程、宗教改革、ロックの社会契約説、プロテスタンティズムとヴェーバーの考察、民主主義と資本主義、など多岐に渡る。本書が対話形式をとっていることに加えて、小室先生の簡明で要点をついた説明がわかり易く理解しやすい。だだ田中角栄絶賛の件はわたしの知識不足もあって首をひねることが多かったが。
といっても良書。憲法素人のまず初めの一歩としては十分だろう。

2011年7月23日

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読書状況 読み終わった [2011年7月19日]

根本的に原発は「悪」なのだ。それをクリーンエネルギーだのなんだのと国や企業は喧伝してきた。その結果が今日の福島での悲劇だ。

決して原発はクリーンではない。廃棄物の処理や生態系への影響など問題は山とある。本書を読んで原発の負の面を理解すべきだ。少なくとも原発は必要だと声高に唱えることはできなくなるだろう。

正直わたしも原発がなくては電力供給がおぼつかないだろうし、また新産業として採算性があるだろう、などと以前は考えていた。だがやはり原発の利点と負の面とを天秤にかけると、脱原発派にならざるを得ない。

原発は「悪」であって、「必要悪」でも勿論、ない。

2011年7月22日

読書状況 読み終わった [2011年7月20日]
カテゴリ 政治経済

荒い小説だ。しかし若々しい。なんてエネルギッシュ。
若い作家でもおさまり定まった作品を書きたがる昨今、これは異彩を放っている。突き抜けた感さえある。魅力は大いにある。この作家は次にどんな話を書くのだろう、と思ったのは久々だった。ただ、佐藤友哉とメフィスト賞選考者のハッタリに過ぎない……とも頭をふとよぎる。

その後の著者はというと、三島由紀夫賞を最年少受賞したり原作が映画化されたりするなど大活躍なようで、なによりである。

2011年7月22日

読書状況 読み終わった [2011年7月19日]
カテゴリ 佐藤 友哉

吃りの青年僧・溝口が金閣寺を焼き払うまでを三島は豊穣な語彙によってとてつもなく精緻につづっている。極めて完成された小説。幼少から思い焦がれ、絶対的存在になっていた金閣にいつからか干渉されるようになってしまった溝口。彼の生活は金閣に阻害されて円滑にすすまなくなってしまう。そこで金閣を焼き払ってともに死ぬことを決意する。が、結局失敗してしまう。ラストで彼は焼け落ちる金閣を眺めながら、ある種の開放感とともに生への意思を認める。
読了後、痺れてしまった。完璧としかいいようがない。

2011年7月25日

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読書状況 読み終わった [2011年7月19日]
カテゴリ 三島 由紀夫

屑、と一般的には言われるだろう。酒を飲み、文を書き散らし、いろんな女と寝、金が無ければ職を探し、金が貰えりゃさっさと辞め、人を殴るわ女を泣かすわ、まさに無頼漢を地で行くチナスキー。屑だ。でもわたしは何故だか知らないが、勝手きままに生きてる彼に同情心をいだいてしまう。孤独な酒飲みが、苦しみながらなんとかして生きているように見えてしまってしかたがない。チナスキーはこの生き方しかできないのだ。孤独な酔いどれ詩人としてしか。と、勝手に妄想してしまうが、個人的深読みをなしにしてもフツーに面白い。太った女にチナスキーが逆に襲われるシーンなど、笑える箇所もたくさんある。ブコウスキーの小説の登場人物は良かれ悪しかれぶっとんでる人間が多くて面白い。

2011年7月25日

読書状況 読み終わった [2011年7月19日]
カテゴリ 外国文学

カフカの著書の大半は彼の死後に出版された。しかも当時の編者によっていくぶん改編されてしまっていた。そのため後に研究者たちによって改訂版カフカ全集が出されることになった。この本はもっとも新しい<史的批判版>に基づいた翻訳となっている。

「書いてあることは解るがそれが何を意味しているのか解らない」とよく評されるカフカだが、たしかにその通り。しかし論よりカフカ、それでも話は面白いし愉しめる。悲劇のなかでも滑稽さや皮肉がちりばめられていて笑えもしてしまう「変身」。サルがただ報告する「アカデミーで報告する」。父からの宣告を受け、死を迎える息子を描いた「判決」。意味ありげな雰囲気で、切れ味鋭い超短編「掟の前で」。この四編は短くさっさと読み終わってしまうだろう。が、どれも味が濃くてカフカに浸れちゃう。

2011年7月23日

読書状況 読み終わった [2011年7月23日]
カテゴリ 外国文学

溢れているのは行動の描写だけで、双子の心理が垣間見えることはない。読み手は「悪童」である彼らをただ傍から眺めているという気にさせられる。
過酷な状況下というものには、本来感情の挟む余地なんてないんじゃないだろうか。アゴタ・クリストフの、渇ききって表情の無い描写に強い戦慄を覚える。
続編二冊出ています。が、断然この悪童日記がベストだと思います。

2011年7月26日

文様図鑑です。ぼけーと眺めるだけで幸せになれます。
森薫さんの乙嫁語りで文様フェチになりかけてこの本を買ったのですが、ますます嵌りそう。

2011年7月25日

読書状況 読み終わった [2011年7月19日]
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