養老孟司特別講義 手入れという思想 (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2013年10月28日発売)
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98-99年あたりに行われた養老先生の講演会をまとめたもの。先日読んだ小島慶子さんとの対談本で、小島さんが推していたので読んでみた。

根本にあるのは、そもそも日本の近代化とは都市化であって、人間がコントロールできない自然を排除する傾向にあるとの論。ウィルスとの関連では、交通事故死の数とウィルスによる死亡者数が同じであっても、コントロールできないウィルスの方を異常に脅威と感じるというところが、昨今の流れに合致していてしっくり来た。言われてみれば、自分で発明した自動車に殺されることの方がキミが悪いのに、対処法がわかっていれば安心してしまう不思議な人間心理を指摘されたよう。

小島さんが感銘を受けたと言う子育てについては、子供=自然である、という発想(思うままにならない子供を育てる人が減る→少子化)。言い換えればマニュアル化なのかもしれないが、「これを入力すればこういう結果が出る」ということを求めてしまう現代人の性を指摘されて、なるほどと思ってしまった。子育ても月齢別マニュアルから、「自分の子供が育てにくいと思ったら読む本」云々まで実にさまざまあり、無意識のうちに「子供は親の力で抑制できる/正しい方向に育てられる」と思い込んでいることが育児ストレスを生み出しているのかもと思った。

知識と自分との乖離。当時はサリン事件が騒がれていたこともあり、どうしてそういう若者が生まれたのかと、若者に接する教授としての養老先生の思考が垣間見れて面白かった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年3月16日
読了日 : 2021年3月15日
本棚登録日 : 2021年3月8日

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