しばらく前に日経で紹介されていて、面白そうと思って読んでみた。
離婚や性被害を扱う弁護士の筆者(太田さん)は、もともと性暴力に関わる仕事をしたいと思われていたそう。そんな筆者が男の子二人を育てることになり、では性暴力のない社会にするためには、また自分の子供たちが加害者にならないためにはどうしたらいいのかと、実際の子育ての経験を通して感じられたことが書かれており、男の子はもちろん次世代を育てる者として非常に勉強になった。
ジェンダーバイアスのかかった言動をしないで子供を育てられるかというのは私も課題だが、さらに外部(周囲の人の言動、学校教育、メディア)からバイアスのかかった情報がもたらされるときに、どう適切に対応できるか。
また男子については、そこで押しつけられる「有害な男性性」を排除し、感情を言語化できるかが課題だという。性差別のある社会では、子供一人一人の個性ということで片付けず(腕白だから仕方ないといったような)、そこにすでにジェンダーバイアスがかかっていることを意識して「学び落とす」ことも必要だとの記述に大きくうなづいた。
また特権マジョリティである異性愛者の男性が性差別のある社会の現状に気付き、声を上げることこそが重要になるとも。田嶋陽子さんも、「せめて女性に下駄を履かせてくれ」(同じスタート地点に立たせてくれ)と言ってもなかなか男性に理解されないというようなことを書かれていたが、いや男だって苦労してるよという男性には、夜道や満員電車で女性が味わう気持ちや家事育児だ仕事だと悩む気持ちはわからないのだろうなあ。
一番共感しながら読んだのは、小島慶子さんとの対談。旧世代を教育し直そうとするのは正直疲れるしもう諦めが入っているというお二人。図らずも、某森元総理の女性蔑視発言があり、悪気なく女性差別を繰り返す(学べない)旧世代の典型を見たばかり。子供を育てる世代として、せめて次の世代への負の連鎖を断ち切るよう責任もって立ち向かおうという姿勢に、私も一緒に頑張りますと誓いました。
- 感想投稿日 : 2021年2月7日
- 読了日 : 2021年2月7日
- 本棚登録日 : 2021年2月6日
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