火車 (新潮文庫)

3.79
  • (2748)
  • (3020)
  • (3859)
  • (358)
  • (81)
本棚登録 : 23156
レビュー : 2332
著者 :
たっちさん 2019年   読み終わった 

5年近く積みっぱなしだったけど、先日発表された平成の30冊にランクインしているとのことで読んだ。初の宮部みゆき。

休職中の本間刑事のもとに遠縁の男が「失踪した婚約者(関根彰子)を探してほしい」とやってくるところから物語が始まる。

結局失踪した婚約者は他人になりすまそうとしていた(と推測されている)。突き止めて声をかけるところで終わるので、あくまで本間刑事の推理ではあるけど、犯人の新城喬子は住宅ローンで一家離散し、結婚してもすぐに離婚することになった。人生をやり直すために関根彰子に手をかけなりすますが、本物の関根彰子もクレジットカードの多重債務によって自己破産しており、新たななりすまし先を求めてその近親者と本人に近づくのではないかー。

ローンにしろクレジットカードにしろ、手元にお金がなくても買い物ができてしまう。自分の返済能力を超えていたとしても。その結果本人やその家族の人生がめちゃくちゃになってしまう。弁護士が「現代の公害」と言っていたけど、誰でも新城喬子や関根彰子のようになってしまう可能性があるということを感じた。

現在は仮想通貨は出てくるし当時よりもさらに経済活動がヴァーチャル化している。スマホが普及して「なんとかペイ」がやたらと氾濫してるし。今このタイミングで読めて良かったと思える。
お金って何だろう、とか幸せって何だろうとか考えさせられる。

ミステリー小説ってあんまり読んだことがなかったけど、この作品はさすがに平成の30冊に選ばれるだけあって、ジャンルの枠を超えた奥深さがあった。

レビュー投稿日
2019年7月14日
読了日
2019年7月14日
本棚登録日
2013年12月6日
5
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『火車 (新潮文庫)』のレビューをもっとみる

『火車 (新潮文庫)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

『火車 (新潮文庫)』にたっちさんがつけたタグ

いいね!してくれた人

ツイートする