タッチ・ミー・アゲイン (ビーボーイコミックス)

3.99
  • (337)
  • (276)
  • (279)
  • (20)
  • (9)
本棚登録 : 2309
レビュー : 140
蛍花さん BL漫画   読み終わった 

初めて読んだヤマシタトモコ作品。
読んで、あー尽く見た目の王道というものを覆しているな…だいすき!って思いました。
淡々としているのでドキドキやハラハラ、事件や衝撃的な展開なんてものはないですが、味わい深くて人間くさいお話ばかりです。寧ろ日常の些細な事件はたくさんありますが。


『タッチ・ミー・アゲイン』
 高校の同級生で、あるとき友情の域を超えてしまって…という王道な設定と言えばそうかもしれませんが、終始話のテンションの低さに驚きました。なにこの低空飛行とリアリティ。もだもだしてる三十路前にひどくときめきました。遠田が好みすぎる。
 どうして“あのとき言えなかったのか”をお互いがずっと自分に問いかけている。一度は触れた関係だけど、一度触れてしまったことで余計に大切にしたいからこそ壊したくないっていうのが強くなってしまった、という感じ。でも一生“友人”でいるのもしんどいしむつかしいとぐるぐる悩んじゃう。
 大人になるだけ臆病で保守的になっていくけど、失いたくないからやっぱりまた境界線を超えてしまう。きっと年齢を重ねた“いま”じゃないとできなかったのかなとも思いました。
 押切モノローグの「もう一度おれにふれて そうすれば これを最後の恋にするのに」というのが印象的で忘れられない。
 そしてこの話のすごいところは8頁×5話の構成をそう感じさせないところ。

『息をとめて、』
 見た目かわいい純粋な三十路ゲイと狡い大人な三十路ノンケの話。
 ヤマシタ先生の話って、いちいち人間というものを的確に表現しているのに感嘆する。芥さんの「誰かに好かれてる安心感が欲しいんだ」とか「あんたがずるくなかったことなんてないじゃない」とか。やけにリアリティを感じる台詞が多くて心臓が痛くなる。
 芥の「だって好きだもん!!」と佐方さんの「なあ おれそんな芥さん好きだぜ? 息がとまるほど(はあと)」が愛しくてしょうがない。

『ヘヴィ・シュガーの嫌がらせ』
 実はこの単行本の中で一番好きな話。カカオ100%のチョコレートってどぎついっていうのと同じニュアンスを感じる。
 “さあ”の「なんだってしてやるよ おまえにも」って台詞が好きすぎて呼吸困難になりそうでした。サディストの定義に納得。
 この神がかり的な台詞を組み込みつつ日常会話でストーリーが展開していくのには毎回すごいと感心します。

『Candied Lemon Peel』
 オカマ攻めの渋い髭受け。この本の中で一番きらめいてる話だと思います。
 ヤマシタ先生もあとがきで仰ってますが、わたしもいくら綺麗な見た目でも女装は女装でしかないうえに攻めっていうのがポイント高いです。しかも最初は檸檬がゲイだったってうのが妙に納得。そして檸檬はガチゲイのバリタチ(変態)に好かれそうっていうか好かれてるのかと更に納得。
 非常にたのしいお話でした。

『noutatore nel cantero!』
 好きすぎて死ねるって、ないけどある。想いすぎてどうしようもないって感情は恋でしかない。

『スターズ☆スピカ☆スペクトル』
 ファンタジー。部屋に死んだはずの知り合いが幽霊として立ってるって話。
 これを読む前に似たような設定を小野塚カホリさんの単行本で読んでいたので設定に関する衝撃はなかったのですが、やはり独特な展開と構成が上手かったです。
 再び辿り着くことのできない距離に後悔。この話のラストをポジティブに捉えるべきかネガティブに捉えるべきか。尾坂って無口で暗い奴っぽいのにモヘアのニットとか着てるもんで、こいつ天然だよな…って未だに悩んでます。

『うしめし』
 日常系ホモ。ヤマシタ先生の描かれる髭面の受けってどうしてこんなにかわいくてエロいの。

あとは表題作とかの描き下ろしが4つほど。

レビュー投稿日
2011年5月6日
読了日
-
本棚登録日
2011年5月5日
1
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『タッチ・ミー・アゲイン (ビーボーイコミ...』のレビューをもっとみる

『タッチ・ミー・アゲイン (ビーボーイコミックス)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

いいね!してくれた人

ツイートする