語り手の香月と探偵の木更津が向かうのは、一代で財を成し、京都で名の知れた名家となった今鏡家が所有する蒼鴉城。
しばしば警察に協力している、腕利きの探偵木更津が招かれる場所といったら、そこには特殊な殺人事件が開陳されているのである。
蒼鴉城はまさしくその顕著な例で、木更津たちが到着した時、そこには奇妙な死体が……。だがそれは惨劇の幕開けに過ぎないのだった。
なんて、導入をまとめてみたけれど、読み終わると、「ああ、そういえばそもそもはそういう話だったね」と思ってしまうくらい、からくり屋敷を探検した後みたいにぽかぁん、という感じになります。
まず一部終了後、そんなことあっていいんかい!?と、逃げ出した彼に笑いを禁じ得ませんでした。
そして二部のはじまり、タイトルにもなっている彼の登場に、わくわくとイライラを感じ……そして……うん、まあ、最後の事件というからにはそういう展開かな、とも思いましたけど。いやあまさか鳴り物入りで出てきてそんななるとは。まさかまさか。
ミステリの『おきまり』を軽やかに塗り潰すような演出に、たびたび驚き、そしてほくそ笑みしてしまう、そんな話でした。
どの推理も牽強附会ですよねぇ(笑)。結局真実を知ってる人にしか、真実を明かすことはできないじゃないですか。
しかしたった一週間の話だったんですね。香月くん惚れっぽいんじゃないですか。プロポーズが一番びっくりしたよ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説【借り物】
- 感想投稿日 : 2012年12月7日
- 読了日 : 2012年12月7日
- 本棚登録日 : 2012年11月29日
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