天使の卵 エンジェルス・エッグ (集英社文庫)

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本棚登録 : 7799
レビュー : 1056
著者 :
制作 : 村上 龍 
ぎにょるさん 恋愛   読み終わった 

何故これを借りようとしたのか(しかも予約までして)自分でもよくわからない。ただ読み終わったあと、自分の目に狂いがなかったことを快く思った。
わたしが小説で書きたかったことなんてとっくにここで描かれている。狂おしいほどの恋心、突然の死と別れ。解説の村上龍や審査員も指摘の通りあまりにもベタだが、ここまで振り切れてベタな作品ってなかなかなくて、下手な細工を散りばめた小賢しい作品よりもぜんぜん素敵だと感じた。
「ひとりの人間が死ぬたびごとに、ひとつの世界が滅んでゆく」ショペンハウアー
この言葉が目に入った瞬間、わたしはどうしようもなく泣きそうになった。死は死んだ本人にだけ降り積もる不幸ではない。人は一人で生きているわけではないのだ。周りの人間、それも愛し合っていた者同士なら哀しむに決まっている。自殺がいけないのは誰かを世界に取り残してしまうからだ。滅びゆくのは死者本人の世界だけでなく、周囲の人々の世界もなのである。
わたしが死んだら君の世界も滅びるのだろうか。
解説の「小説はテキストのない翻訳」という持論が興味深かった。言葉にできない言葉を表すことが小説の試みだ。孤独を表現できる人が真に文章の上手い人なのだとわたしは思っているのだが、それは孤独というものが表現し難い、言葉を失うものだからなのだろう。
むっちゃどうでもいいけど、『O嬢の物語』って会話の中に出てきて意外だった。

人間は圧力釜。

レビュー投稿日
2019年2月12日
読了日
2018年12月5日
本棚登録日
2019年2月12日
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