ジョゼと虎と魚たち (角川文庫)

  • 角川書店 (1997年3月25日発売)
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感想 : 694
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R1.8.25 読了。

 以前どこかで見た同名映画のタイトルが気になっていて、ブックオフでこのタイトルを見つけて衝動買いしてしまった。
 表題作の「ジョゼと虎と魚たち」のジョゼは、生き方が不器用だが、可愛らしい女性だと思った。愛があれば障害も乗り越えていけるのかも。
 他の短編作品も離婚や不倫、元妻の家族と現在の妻との間を行き来する2重生活などのどちらかというと、人生の裏通りみたいな内容だったが、関西弁のせいか暗さやうしろめたさはあまり感じさせない印象だった。しかも短編の中には、熟女の艶めかしいエロチックな感じも漂っていて、尻がこそばゆくなるような場面も描かれていた。情事の直接的な描写は少なかったように思うのだが、書き手の素晴らしい文章力の賜物なのだろう。

・「1ばん怖いものを見たかったんや。好きな男の人が出来たときに。怖うてもすがれるから。」
・「いまの世の中は、人にバカにされまいという意識が、まるで社会という舟の竜骨のように、人々の心を硬張らせている。」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 作家名
感想投稿日 : 2019年8月25日
読了日 : 2019年8月25日
本棚登録日 : 2019年8月14日

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