木下惠介生誕100年 「二十四の瞳」 [DVD]

監督 : 木下惠介 
出演 : 高峰秀子  月丘夢路  田村高廣  小林トシ子  笠智衆 
  • 松竹 (2012年8月28日発売)
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感想 : 23
4

木下惠介監督•脚本、壺井栄原作、1954年作。高峰秀子、天本英世、笠智衆、田村高広出演。

<コメント>から
•木下監督の作品は4作目の視聴。「喜びも悲しみも幾年月」同様の反戦映画。似てるのは、戦前の明るさ•戦中の荒廃•戦後の安堵感を対比して見せる点、戦場シーンなく戦争の悲惨さを描く点、戦死だけでなくひもじさからの死や社会の荒廃など生活の悲惨さを描く点。
それゆえに「お国の為」などという暗示にかかりやすい男、命を奪われ生活が壊されることに敏感な女という構図で主人公は女。「木下戦争ものの公式」と言えるかもしれない。
ただ、木下自身を描いた映画「はじまりのみち」のレビューでも書いたが、彼は戦争そのものに反対というより、戦時下の思想統制、表現活動への国家介入に反発していたようだけどね。
•高峰秀子扮する大石先生がハイカラで進歩的な女性として描かれている。世代的にはその親が大正デモクラシーの時代なのかな。舞台となった小豆島の閉鎖的慣習とのコントラストが際立つ。
•おそらく昭和20〜30年代に教員を目指した人の多くはこの映画に影響されたのではないか。経験上もその世代に反戦、生徒にフレンドリーな教師が多かった記憶がある。
•初代オロナイン軟膏のCMに出ていた浪花 千栄子(なにわ ちえこ)が、まっちゃんの働く食堂の女将役で出ていた。本名・南口 キクノ(なんこう きくの)が縁でのCM抜擢だと50年余りして初めて知る。映画には関係ないけど。

<あらすじ(ネタバレ)>
昭和3年、小豆島(しょうどしま)にある分教場の教員となった大石(高峰)は、当時でいえば進歩的な教師で12人の1年生から慕われる。生徒のいたずらで足に怪我をしたが、生徒たちは先生を慕って遠い道のりを先生に会いにくる。しかし、生徒の期待とは裏腹に、怪我も起因して先生は本校へ異動。
不況のため修学旅行にいけなかった生徒が、働かざるを得なくなって不登校になったこと、教員は思想統制に怯えるようになったことなどから、嫌気がさした大石は教員をやめる。
戦争が始まり、大石の夫(天本)は戦死、教え子の多くも戦死、末娘は空腹で柿の実をとろうと木から落ちて死ぬ。
終戦後、教員に復帰した大石は、かつての教え子の妹や子らの担任になる。教え子らが同窓会を開き、失明した磯吉(田村)もやって来て、当時の全体写真を、記憶をたどって写っている人を指差す(指している指は人からずれる)。大石は通勤に使っていた自転車と同じ自転車を贈られ、それを使って分教場に通い始める。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 戦争
感想投稿日 : 2017年10月17日
読了日 : 2017年10月17日
本棚登録日 : 2017年10月16日

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