風に吹かれてII-スタジオジブリの現在 (中公文庫)

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本棚登録 : 29
レビュー : 5
著者 :
制作 : 渋谷陽一 
teshigawaraさん  未設定  読み終わった 

ーーこれは『アリエッティ』の成功の法則を多少応用したんですか?
「まあ二人ともやり方違いますけどね。吾郎くんに感心したのは『ゲド戦記』のときなんですよ。最初から完成度の高い絵コンテを描いたのは、吾郎くんの方だったね。どこでこんなもの学んだんだろうって。自分の父親が偉大だったわけでしょう。そうするとなかなか面と向かって話す機会がない。そうしたら、親父と交わす代わりにね、映画と対話していたーーそして宮さんのつくった映画のカット、内容を全部覚えていた。それですよね。それを当てはめていったのが『ゲド戦記』であり、そして今回の作品。映画ってそういうものですよね。それは黒澤だっていっていますよ。映画は記憶力で、どれだけ名作のカットを覚えているかだと。そういうことでいえば、映画って引用の組み合わせですよね。吾郎くんの場合、一つ問題なのは、その対象が全てお父さんの作品だということですよね。だって、黒澤なんかいろんなとこから引っ張ってきている。その記憶力のいい人間が映画を作る。
ーー僕は『コクリコ坂から』を見て、ああ、よかったなと。
「うん、よかったと思います。普通、映画監督ってね、若いときに習作としていろんなものを記憶していて、それを当てはめていってやる。小説だってみんなそうです。三島由紀夫の初期の作品、『仮面の告白』なんて全部太宰治じゃないですか。そのまま。句読点の打ち方まで同じ。吾郎くんの場合、問題がるとしたらそのスタートが遅いってことですね」

ーー延々やりながらも、これだってハードル越えができていない中、企画をスタートさせなくちゃいけない。これ、暗澹たる気持ちにならないんですか?
「僕ね、暗澹たる気持ちってならない人なんですよ(笑)。だからといって燃えるわけでもないですよね。だからまあ、『床下の小人たち』(『アリエッティ』の原作)が企画決定する、麻呂ちょっと来てっていって、やってもらうことにした。それだけですよ。
ーー麻呂さんに決めた、これは映画『借りぐらしのアリエッティ』の時にもうかがったんですけれども、それがまずすごいですよね。
「いや、僕が考えてたことはね、ちょっとやらせてみてだめだったらまた次に替えよう、そんなことを思っているわけですよ(笑)」
ーー(笑)。
「そういうもんでしょう?(笑)」
ーーいや、でも結果としては大成功だったわけで。あらためて、なぜ麻呂さんを選んだんですか?
「うまかったからですよ、アニメーションが。正確にいうとね、『床下の小人たち』でしょ、これ小人の話でしょ。そうするとアニメーションがうまくないと始まらないんですよ。そういうところ、僕は現実的、実際的なんですよね。要するに、お話をシンプルに、表現を豊かな作品にするってことをスパッと考えるんですよね。だから、シナリオを作るときに僕が考えてたのはね、長くなっちゃおしまい(笑)。要するにお話で見せる映画じゃないから。なんていうのかな。小人が小人に見えなきゃいけないわけでしょ。そこで監督はアニメーターの方がいいと思ったんですよね。となったときに、麻呂が一番うまかった。とはいえ、絵コンテって描いたことないわけでしょ? どうしよう? って。まいっか、いろいろアニメやってきたんだからとにかく描いてみなってやつですよ(笑)」

レビュー投稿日
2019年8月24日
読了日
2019年7月14日
本棚登録日
2019年7月14日
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