やはり、ネルソン・デミルの面白さは恋愛小説の中にもキチンと存在していたことを確認出来てホッとしている。しかし、本書の主人公はワシントンの情報中枢にあって一度は、冷戦構造の終結後の構造改革の中で職を失い、それが鶴の一言により飛び級で新しい職をオファーされるという状況の中25年歳月の中でも忘れずにいた純愛に身を投じ、権力も出世も捨て悪徳警官である彼女の夫から彼女を奪うことを選択する。本当にこんなのアリかというストーリーである。それをなんとかデミル流にまとめ上げるのはさすがとしか言えない。やはり、通奏低音のようにストーリーを通してベトナム戦争時代のアメリカの若者の気分だとか帰還兵の没落とかサイドテーマとして充実していることも本書の魅力である。ただ、チト彼の作品の中では好き嫌いの分かれるところだと思う。
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- 感想投稿日 : 2017年10月18日
- 読了日 : 2023年12月14日
- 本棚登録日 : 2017年10月15日
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