2004年、中田宏氏が現職の横浜市長の頃に出版されているが、野田内閣のご時世に本書を読むのが味わい深い。前記の二人以外にも、山田宏、樽床伸二、前原誠司、原口一博、玄葉光一郎等々、昨今の新聞紙面を飾る名前が頻出している。この塾の創設から、新党ブームによる躍進、幸之助死去による危機などの紆余曲折が、リアルに記されているが、この塾の実体が何かという点で、物足りなさを感じた。
《いくら商売で成果を上げても、政治がコケれば社会全体が悪くなる事が戦争で証明された。政治家に任せているだけではダメだ》
松下幸之助の、日本を変えたいという維新の気骨がこの塾を興す事になったのが、30年余り前の話。今となっては閣僚どころか首相まで輩出した訳なので、幸之助翁は喜んでいるのだろうか。残念ながら、政治の手段であるべき選挙が目的と化し、この本を塾が候補者養成機関となってしまった現状を、本書の著者は冷酷に批判している。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
新書 人文系
- 感想投稿日 : 2011年10月31日
- 読了日 : 2011年10月31日
- 本棚登録日 : 2011年10月31日
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