モンタニャールおじさんの本棚

もとは『近代の正統性』の題辞の出典を確認するために手にとった本。しかし思いの外引き込まれる内容だった。自らが私生児であることに気づいて家出するベルナール、その友人オリヴィエ、その兄弟ヴァンサンと彼をカモろうとするパッサヴァン伯爵、ヴァンサンが療養地で妊娠させたローラ、オリヴィエを愛してやまない小説家エドゥアールなど、多彩な人物が登場するが、彼ら同士に何かしらの接点があるために物語全体にはそれなりの脈絡が付いている。しかしそれ以上に、この小説の構想としか思えない内容を劇中の小説家がしゃべるといった手法が散りばめられており、意外感を持たせる筋書きになっている。

2017年10月9日

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カテゴリ 文芸

ボグダン・フォン・フッテン=チャプスキというポーランド人にしてドイツ帝国の貴族であった人物の活動に焦点をあてて、従来のプロイセン研究に新たな問題を提起しようとする研究。近年のプロイセン再評価の機運に一定の好意的評価を加えつつも、ドイツ民族至上主義の思想とは異なり、近代以降少数派ながら数多くの(ドイツ人から見れば)異分子を抱え込んできたプロイセン、あるいはドイツ帝国において、過度なドイツ・ナショナリズムからも過度なポーランド・ナショナリズムからも距離を取り、ホーエンツォレルン家への忠誠心によって統合される「多民族王朝国家」プロイセンの可能性を、ドイツ帝国期から第一次大戦にかけて模索し続けた一貴族の生涯が丹念に描き出されている。最後に著者は、近代ドイツにおいて「非国民」として敵視された勢力として、社会主義者(赤の国際派)とユダヤ人(金の国際派)のほかにも、貴族(青の国際派)というのが存在したのではないか、そしてその経緯の解明がドイツ・ナショナリズム研究にとって有益なのではないかと提言している。近代のナショナリズムに対抗する勢力としての貴族、それも「ユンカー」という枠には収まらない国をまたいで活動する勢力としての貴族に焦点をあてた本書は、19世紀から20世紀初頭の時期のナショナリズムだけでなく、その他の時期のヨーロッパ・ナショナリズム研究についても有益な視角を与えてくれるのではないかと思われる。

2016年5月17日

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カテゴリ 歴史
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代表制の研究において参照されることの多い著作の邦訳。ただし、原著の脚注はすべてカットされている。代表の本質規定については、シュミットを引き継いで、不在のものの再現前というような形で定義している。しかし本書の特色は、代表論よりもむしろ、第三編第四編において、(伝統的な意味での)代表制民主主義の失効を宣言し、政党国家にふさわしい法政策を求めている点にあるだろう。ライプホルツはそれを、代表制民主主義から国民投票的(プレビジット的?)民主主義への移行という仕方で論じている。この点において、近年の代表制をめぐる議論とも一線を画す本書は、今日なお読まれるに値する研究だろう。

2016年5月16日

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カテゴリ 法学

8本の論文を収録。主として思想、文化に関連したテーマが多い。ブランデンブルク=プロイセンに始まり東西ドイツ分裂に終わるドイツ史概論などはさほど目新しい記述は見当たらないが、特に「人間と思想――十八・十九世紀交代期のドイツ――」は、ミラボーやフォルスター、クローツやラインハルト伯など、フランス革命とドイツの関わりを考えるうえで重要な人物たちを扱った論文であり、グーチやアリスの研究が下敷きになっているとはいえ、この時代の細かな思想史を知るうえで重要な論文だと思われる。また「フリードリヒ・マイネッケの生涯と思想」も、歴史家マイネッケと彼が生きた激動の時代との関連を考えるために非常に有益だろう。

2016年5月15日

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カテゴリ 歴史
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メイトランド、ホウルズワース、ソーンによる、ルネサンスの知的文化がイングランド法(法学)にどれだけ及んだかを扱う論文集。メイトランドはローマ法を重視するように説く言説が法学者たちの間で支配的になったと考え、16世紀にイングランド法が重大な危機に陥っていたと考えた。残りの二つの論文は、このメイトランドのテーゼに対する批判である。この問題は、いわゆる「コモン・ロー・マインド」がどれほど島国的なものであったのか、コモン・ロー裁判所とローマ法を用いる海事裁判所の関係はどうなっていたのか、相互に影響を与えることはなかったのか、などなど、イングランド法史の重要な問題にかかわる。そうした意味で、問題提起の一書として読むことができるだろう。

2016年5月10日

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カテゴリ 法学

「オランダで迫害され、フランスに疎まれたデカルト」という定式を出発点にして、18世紀フランス啓蒙におけるデカルト像を描き出す研究。ヴォルテールがニュートン力学とデカルトの渦動論を比較して前者に軍配を上げていることは有名だが、そうしたデカルト批判の議論が同時代のフランスでどの程度広がっていたのか、そうした議論をすることと知識人集団の中での立場の問題、デカルト主義とジャンセニズムが親近性があると見られていたこと、などなど、科学史的問題というよりも、科学思想的問題が18世紀の文脈において論じられている。近代哲学の先駆者とされるデカルトが、18世紀にどれほど批判に晒されたか、あるいはどのように当時の状況に即して再解釈されたかが具体的に描かれており、非常に面白い。

2016年5月7日

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カテゴリ 近代思想

古代末期に記され、西洋思想に多大な影響を与えた一書。監獄に囚われたボエティウスのもとに、哲学の女神が現れ、不幸を嘆く彼に対して、真の哲学の教えを与える。その中で、幸福とは何か、悪は存在しない、摂理とは何かなど、以降の哲学を規定することになる様々な問題が論じられる。しかし、苦境にある人間を哲学が救うという筋書き自体は、細かな教えを越えて、人間に対して広く訴えかける力を有しているのではないかと思われる。

2016年5月6日

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カテゴリ 古代思想

ケンブリッジ学派の中心人物スキナーによるマキアヴェッリ思想への「入門書」。マキアヴェッリの生涯をたどりながら、『君主論』や『ディスコルシ』、『フィレンツェ史』といった彼の代表作を貫く主題が、当時の支配的な価値観との対比で明瞭にされていく。運命に対して抗うための能力としての「徳」というのが、キケロー以来の道徳論から、国家の自己保存のための能力として再定義されていくこと、その主題は『ディスコルシ』においても継続しているが、しかしこれ以降安定した政治体の組織という問題も登場してくること、など、フィレンツェ都市国家で花開いた思想が、適切に歴史化されて論じられている。

2016年5月4日

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カテゴリ 近代思想

『イングランド法の礼賛について』で知られ、イングランドのコモン・ローヤーたちに多大な影響を与えてきたジョン・フォーテスキューの著作の翻訳。『自然法論』という大仰なタイトルはついているが、実際には、女子による、あるいは女系による王位継承が自然法に反していることを論証するために編まれた一冊である。そのため、全体を通して、聖書解釈によって女性が支配権を持つに相応しくない存在であることがこれでもかと強調される。もっとも、後にコモン・ローヤーたちに盛んに援用された王的・政治的支配の概念はすでに本書で登場している。これについては様々な解釈が存在するようだが、国王の立法も人民の同意がなければ完全とはいえないという考え方は、制限君主政論に通じる考え方であることは確かである。

2016年4月30日

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カテゴリ 中世思想

イングランド法史の泰斗メイトランドによる概説書。イングランドの古法から17世紀直前までの、主として法体系と裁判制度が簡潔に論じられている。メイトランドが非常に重視するのはヘンリ2世であり、彼がコモン・ローの建設者だとされる。そして裁判所の中央集権化――もっともコモン・ロー裁判所と他の法体系による裁判所、あるいは星室裁判所などの違いはあるが――に大きな意義を認めている。イギリスの独特の法文化、そして他の法体系とコモン・ローの関わりを見ようと思えば、本書が簡潔な見通しを与えてくれることは確かである。

2016年4月26日

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カテゴリ 歴史

オーストリアの言論人カール・クラウスの政治思想を論じる研究書。本書は、彼の活動に一貫した視座を読み取る研究である。中心となっているのは、クラウスがある種の保守主義者であったがゆえに、世紀末から戦間期にかけてのウィーンで啓蒙的・批判的言論活動を展開することができたという主張である。この主張が、世紀末の建築文化と精神分析に対するクラウスの批判的態度、第一次世界大戦時に保守的反戦思想にコミットするクラウスの態度、そしてナチスに対抗してオーストロ・ファシズムの中心ドルフスを支持した行動から、裏づけられてゆく。そして最後に、このようなクラウスの活動の意味を、エリック・フェーゲリンのクラウス論を下敷きにして、より一般的な視座から論じている。世紀末ウィーンは、フロイトやウィトゲンシュタインといった、現代文化を論じるうえで欠かせない人物たちを生み出した世界であるが、その中で言論人として輝きを放ったクラウスの思想を、通常イメージされる「文化」的な側面から政治思想的側面まで、幅広く、そして彼の『炬火』の記事を中心に内在的に論じた本書は、必ずしもこの時代について明るくないが政治思想に興味がある人にも、政治思想には明るくないがこの時代の文化に興味がある人にとっても、非常に興味深い内容であることは間違いない。

2016年4月24日

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カテゴリ 近代思想

「古来の国制(ancient constitution)」という観念のもとにまとめられるイギリスのコモン・ローヤーたちの政治思想を、ブラクトン、フォーテスキュー、トマス・スミスまで遡り、それからルネサンス人文主義の影響を論じ、そのうえでスチュアート朝におけるコモン・ローヤーたちの言説を丹念に論じている。政治思想史としてだけでなく、法学史としても非常に参考になるだろう。また、しばしば立憲主義の代表例とみなされるイギリスの政治原理が、いかに近代革命のイデオロギーとは異なる原理であったかということがよく分かる一書となっている。

2016年4月23日

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カテゴリ 近代思想

世紀末から戦間期にかけてヴィーンで活躍した批評家、カール・クラウスの生涯をたどる一冊。雑誌『炬火』を軸として、何者にもとらわれない自由な言論活動を広げたクラウスの生涯が、彼の印象的な言葉とともに、分かりやすく叙述されている。

2016年4月22日

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カテゴリ 近代思想

ハンナ・アーレントの代表的研究書。未公刊資料なども駆使しながら、全体主義との対決がアーレントの思想の基調をなすと主張する。そのため、『全体主義の起原』の解釈に始まり、その中でアーレントがマルクス主義の問題に着目したこと、それが『人間の条件』における労働の考察に結実していることが示される。さらに、『人間の条件』における活動論に始まる彼女の思考が、留保がつくとはいえ、古典的共和主義の系譜に連なっていること、しかしその中で哲学と政治の相性の悪さについて思考を深めていったこと、が時系列的に明らかにされている。アーレントの考察は多岐にわたるため、なかなか基本線がどこにあるのかがわかりにくいが、この研究はその点を明示してくれているという点で、非常に有益である。また同時に、アーレントの試行錯誤の過程が克明に描かれており、彼女の思考を理解するうえでの困難さも感じさせてくれる。

2016年4月17日

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カテゴリ 現代思想

古代ギリシャからルソーを扱う政治思想の教科書。現代の政治理論が登場しないとはいえ、各章はいずれも濃密な内容になっている。全体の構成としては、第一章で本書全体を通して登場するカテゴリー、「コスモス」、「運命」、「時間」、「法」についての説明が加えられる。第二章~第四章では、まず古代ギリシア世界、そしてプラトン、アリストテレスの思想が検討される。第五章「ワープ!」で、タイトル通り、古代ローマからヨーロッパ中世の思想の要点が概観される。その後、第六章~第九章で、マキアヴェリ、ホッブス、ロック、ルソーが順次検討されていく。個人的には、ルソーの解釈については異論がある。ルソーが『社会契約論』で構想した国家においては、息子が戦争で死ねばそれに喜ぶような母親がいるだろう。そうでなければ、人間性を変えるほどの力量を持った立法者は必要ないのではなかろうか。――とはいえ、このように批判的に本書を吟味できるのも、教科書にしては珍しく膨大な量の脚注がついているおかげである。そのため、どのタイプの研究が解釈の基礎になっているのかがよく分かるようになっている。

2016年4月16日

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カテゴリ 近代思想
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ハンナ・アーレントの代表作の一つ。vita activaの三類型として、労働、仕事、活動が提示され、その各々の領分が、古代ギリシャ以来の思想や歴史を参照することによって、画定されていく。極めて多くの素材が取り込まれており、『全体主義の起原』や『革命について』など他の彼女の作品との関連も匂わせる記述が多々見られる。そういう意味で、彼女の代表作と呼ばれてしかるべき一冊だろう。

2016年4月13日

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カテゴリ 現代思想

『歴史主義の成立』の続き。本巻ではいよいよドイツの思想家たちが論じられる。レッシングとヴィンケルマンに始まり、メーザー、ヘルダーを経て、ゲーテにおいて歴史主義が成立する土台が整った(ゲーテが歴史主義の完成者というわけではない)とするマイネッケのテーゼが十全に展開される。付録として、ランケについての講演が収録されている。最後に付された「約言と結語」によれば、ゲーテにおいて根本概念が決定的に発現した歴史主義の成立にあたって、過去を理想化して現在の文明を批判する前期ロマン派的欲求、ピエティスムス、ヴィンケルマンが模範となる古代芸術の聖化、新プラトン主義的世界観、この四つの要素が決定的な役割を果たしたのである。この四つの要素を最高の仕方で総合したのが、ゲーテであったというのがマイネッケの結論である。

2016年4月7日

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カテゴリ 歴史

一八世紀末フランスにおける「穀物取引論争」をバックグラウンドにして、「政治経済学」というこの時代以降政治学と経済学に分化していく学問の言説空間を再構成する研究。その際主として、ケネー、メルシエのフィジオクラート、チュルゴー、コンドルセ、ネッケルといった人々が論じられる。表題にあるとおり、専制despotismeという言葉に新たなイメージを付与したフィジオクラート、その考えを批判しつつも、理性の言葉で説得する対象となる世論に対して、その偏見を真理によって是正していくことを目論むチュルゴー、コンドルセ、さらにそうした考えを批判し、為政者はそういった偏見も含んだ世論に細かな対応をとるべきだとしたネッケル、彼らの考え方の本質的な部分が整理されて提示されている。例えば本書でのコンドルセの位置づけは、実のところ政治経済学の提示する真理と物理学や数学の真理が同一の身分を持つと考える点で、メルシエとそれほど遠くない。それは翻って、コンドルセの世論観を問いなおす研究につながっていくだろう。そういった点でも、非常に興味深い研究。

2016年4月6日

「政治的ロマン主義」を代表する人物として知られるアダム・ミュラーの本格的モノグラフ。軸となっているのは、ミュラーがアダム・スミスをどのように受容しどのように批判したのか、という問いである。これは受容史をめぐる問題であると同時に、ミュラーが生きた当時のドイツでもアダム・スミスの『国富論』が脚光を浴びていたこともあり、同時代の様々な思想とミュラーがどのように対峙したのか、という問題でもある。E. R. フーバーのミュラー論が一つ鍵となる研究になっているが、ミュラーの政治体制論だけではなく、彼の経済観・社会観を総合的に取り扱っている。また随所で現代経済学とミュラーの思想の関係が論じられており、一個の経済学史という読み方もできるだろう。

2016年4月5日

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カテゴリ 近代思想

虚飾を排した大王の「実像」を描こうとする本。その際とくに注意が払われているのが、フリードリヒと父王フリードリヒ=ヴィルヘルム一世との確執、姉ヴィルヘルミーネとの家族関係、大王による王妃の冷遇、大王の個人的交友関係など、大王の人柄がよく分かるようなエピソードを中心として構成されている。その点では、参考文献にも挙げられている訳書『人はいかにして王となるか』と同様の内容を、ただし詳しい部分はそれ以上に詳しく、簡潔明快に叙述してくれている。『反マキャベリ論』の著者フリードリヒとシュレジエンに侵攻する政治家フリードリヒの対比についてなど、彼の政治哲学と実際の政策の関係については、かなり厳しい評価が下されている。他方で、ヴォルテールとの関係については、ヴォルテールの評伝などと比べればむしろ大王に好意的な書き方であろう。いずれにせよ、一八世紀の宮廷社会に生きる人間の生活様式、生活文化がよく分かる本である。

2016年3月31日

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カテゴリ 歴史

「攻城主」デメトリオスとアントニウスの対比列伝、プラトンの友人ディオンとブルートゥスの対比列伝を収める。前者の列伝は、「大きな悪も大きな徳と同様に偉大な天性が生ずるものだ」ということを実証するために書かれたという。そのため、二人の乱脈な生活、デメトリオスはアテナイの神域に愛人を連れ込み悦楽に浸ったこと、アントニウスはクレオパトラとの恋愛で大事を逸したことが克明に描かれる。後者の列伝では打って変わって、独裁政治打倒に尽力した人が主題である。ただし、プルタルコスは、ディオンは自分がひどい目にあわなければ独裁者の打倒のために動くことはなかっただろうが、ブルートゥスは公の利益のためだけに厚遇してくれたカエサルの暗殺計画に加わったとして、ブルートゥスを擁護している。ブルートゥスの評価については、ダンテの地獄編と比べるのが最も分かりやすいだろう。

2016年3月31日

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カテゴリ 歴史

スパルタ王アギスおよびクレオメネスとグラックス兄弟の対比列伝、デモステネスとキケロの対比列伝を収める。前者は、民衆の利益を図って国制の改革を企図した人々の対比であるが、ギリシャびいきのプルタルコスにしては珍しく、この四人中ティベリウス・グラックスを徳において首位を占める者としている。デモステネスとキケロの対比においては、キケロの過度な名誉心、デモステネスの金銭欲を指摘しつつ、キケロが逃亡を図ったうえで殺されたこととデモステネスが毒を含んで自殺したことを比べ、後者をより優れた行いとして賞賛している。

2016年3月27日

読書状況 読み終わった [2016年3月27日]
カテゴリ 歴史

「さまざまの歴史的=人間的力を、一般化的にではなく個性化的に考察する」ことを核心とする歴史主義という考え方の成立過程を辿る研究。上巻では、シャフツベリ、ライプニッツ、アルノルト、ヴィーコとラフィトーといった先駆者たち、ヴォルテール、モンテスキューなどフランス啓蒙主義者たち、ヒューム、ギボン、ロバートソンのイギリス啓蒙主義者たち、バークなどのイギリス前期ロマン派が論述対象となる。歴史主義の成立はドイツにおいて見られたというマイネッケのテーゼから予想される通り、上巻では、(トレルチに大いに影響された概念であるところの)ストア的キリスト教的自然法、実用主義的歴史観、全てを機械論的に説明しようとする啓蒙主義の歴史観と歴史主義的思考が各思想家においてどのように並存し、対立していたのかが詳しく論じられる。また、個性概念に並ぶ鍵概念となっているのが発展の概念であるが、これが啓蒙主義によく見られる完成の概念とどう違うのかという点についても、詳しい説明がなされる。

2016年3月24日

読書状況 読み終わった [2016年3月24日]
カテゴリ 歴史

ローマの建国から東ローマ帝国滅亡までのローマ史を俯瞰し、共和政が滅び帝政という新たな政体が導入されるに至った原因を追求する著作。共和政ローマに対する高い評価――「ローマの政治は、その誕生以来、人民の精神、元老院の力、あるいは、何人かの政務官の権威によって、その国家構造が権力のあらゆる濫用を常に是正できるような働きを保っていた点において、素晴らしいものであった」――、共和政には分裂が必要であり、分裂のない共和政では自由が死んでいるというマキャベリを思わせる理解、しかし共和政に内在する拡大傾向が属州を獲得させると、駐留軍が有力者の私兵と化し、またローマの公民権が他の諸都市の住民に認められて祖国愛が失われた、そのために、内乱がきっかけとなって共和政が滅亡した、というモンテスキューのローマ史理解は、歴史考察にとどまらず、後に『法の精神』で結実する彼の制度論に直結していると見るべきだろう。

2016年3月21日

読書状況 読み終わった [2016年3月21日]
カテゴリ 近代思想
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