ロックがいかなる意図を持って思索を展開したのかを実証的に明らかにしている研究。ロックの究極的な意図は、創造者たる神の意志を明らかにすることにあり、それが政治社会論や認識論の営為にも直結しているのだという解釈を提示する。特にロックの自然法論について、中世のトマス・アクィナスに代表されるような、神の法とほぼ同列に位置づけられる自然法理解が根底にあるのではないか、少なくともホッブズやカントのような理性法的な自然法理解とはかなり異質なのではないか、という疑問が、上に述べたような解釈によって触発される。ともかくも、単に近代市民社会論の教祖ではない古くて新しいロック像を提供してくれる研究である。
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- 感想投稿日 : 2012年11月1日
- 読了日 : 2012年10月31日
- 本棚登録日 : 2012年11月1日
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