システム理論的見地から法と社会との関連性を解明することを試みた、ルーマンの70年代の研究。法社会学という学問形態を従来の社会学やエールリッヒの取り組みから継承しつつ、おそらく全く独自の問題設定によって従来の法社会学とは非常に異なったタイプの研究となっている。まず一つは、法形成メカニズムの解明として、予期の予期、認知的予期と規範的予期、二重の不確定性などの概念用具が準備される。ついで法システムがどのように進化してきたかを概観し、法の実定性という問題の解明に移る。おそらく、本書での中核的議論は、法の実定性を全体社会との連関において解明することである。実定性は、法の構造的可変性として位置づけられ、つまり規範的予期と認知的予期という矛盾する予期が結合されたものとして理解される。その矛盾から、全体社会システムと法システムとの関連の多様な選択可能性のうち、特定の関連が選択されることで、システムが進化していくという概観が得られる。その中で、法の定立に関わる政治システムと法システムとの関連についても言及されている。最後に、こうした法社会学的解明をいかに法解釈理論へと突き返すか、という問題が提起される。その点で、この研究は社会学的見地に拠っているが、法解釈学にとっても興味深い問題を提起している。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
社会学
- 感想投稿日 : 2013年2月25日
- 読了日 : 2013年2月25日
- 本棚登録日 : 2013年2月25日
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