「性格論」邦訳第二分冊。宮廷、貴顕、国王と、各章のテーマが(上)巻に続き当時の身分制社会を下から上へと登っていく。その後、「人間について」「判断について」で庶民にも貴族にも舌鋒鋭い皮肉が展開される。本巻はテーマの性質もあり、非常に政治的な色彩を帯びた格言ないし肖像が多い。とりわけ「判断について」の最後部では、ウィリアム3世による名誉革命が王位簒奪であり、これを支持したヨーロッパ各国君主の判断の愚かさが非難され孤軍奮闘したルイ14世が賞賛される。例えば著者は貴族への攻撃も遠慮していないが、もちろんそれは真の貴族というものかくあるべしという理想があるからであり、貴族一般への憎悪を展開しているわけではない。そういう意味で、著者はまさしくルイ14世の時代に生きているフランス人なのだとはっきり示してくれるのが本巻だとも言えるだろう。
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- 感想投稿日 : 2016年1月4日
- 読了日 : 2016年1月4日
- 本棚登録日 : 2016年1月4日
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