フリードリヒ大王: 啓蒙君主のペンと剣 (中公新書 1152)

著者 :
  • 中央公論新社 (1993年10月1日発売)
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虚飾を排した大王の「実像」を描こうとする本。その際とくに注意が払われているのが、フリードリヒと父王フリードリヒ=ヴィルヘルム一世との確執、姉ヴィルヘルミーネとの家族関係、大王による王妃の冷遇、大王の個人的交友関係など、大王の人柄がよく分かるようなエピソードを中心として構成されている。その点では、参考文献にも挙げられている訳書『人はいかにして王となるか』と同様の内容を、ただし詳しい部分はそれ以上に詳しく、簡潔明快に叙述してくれている。『反マキャベリ論』の著者フリードリヒとシュレジエンに侵攻する政治家フリードリヒの対比についてなど、彼の政治哲学と実際の政策の関係については、かなり厳しい評価が下されている。他方で、ヴォルテールとの関係については、ヴォルテールの評伝などと比べればむしろ大王に好意的な書き方であろう。いずれにせよ、一八世紀の宮廷社会に生きる人間の生活様式、生活文化がよく分かる本である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2016年4月1日
読了日 : 2016年3月31日
本棚登録日 : 2016年4月1日

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