商業・専制・世論―フランス啓蒙の「政治経済学」と統治原理の転換

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  • 創文社 (2014年3月1日発売)
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一八世紀末フランスにおける「穀物取引論争」をバックグラウンドにして、「政治経済学」というこの時代以降政治学と経済学に分化していく学問の言説空間を再構成する研究。その際主として、ケネー、メルシエのフィジオクラート、チュルゴー、コンドルセ、ネッケルといった人々が論じられる。表題にあるとおり、専制despotismeという言葉に新たなイメージを付与したフィジオクラート、その考えを批判しつつも、理性の言葉で説得する対象となる世論に対して、その偏見を真理によって是正していくことを目論むチュルゴー、コンドルセ、さらにそうした考えを批判し、為政者はそういった偏見も含んだ世論に細かな対応をとるべきだとしたネッケル、彼らの考え方の本質的な部分が整理されて提示されている。例えば本書でのコンドルセの位置づけは、実のところ政治経済学の提示する真理と物理学や数学の真理が同一の身分を持つと考える点で、メルシエとそれほど遠くない。それは翻って、コンドルセの世論観を問いなおす研究につながっていくだろう。そういった点でも、非常に興味深い研究。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2016年4月7日
読了日 : 2016年4月6日
本棚登録日 : 2016年4月7日

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