
カントがそれ以前の論理学では軽視されてきた「無限判断」という類型を、超越論的論理学において導入した点に着目し、無限判断がカントの思考で果たす重要な役割を解明した研究書。その際に、無限判断の具体的モデルとして「法廷モデル」、つまり相対立する立場を無限判断によって第三の立場を導入することにより争いの解決を図るという、アンチノミー論に典型的に見られるカントの思考様式が説明されることになる。18世紀の哲学史などの内容も踏まえカントの思考様式の起源や、ランベルトなどとの関連が明らかにされている点でも、資するところの多い研究書である。
- レビュー投稿日
- 2012年8月10日
- 読了日
- 2012年8月10日
- 本棚登録日
- 2012年8月10日
『カント 第三の思考―法廷モデルと無限判断』のレビューへのコメント
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