ユストゥス・メーザーの世界

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  • 刀水書房
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ゲーテやヘルダーが高く評価し、またドイツの国民経済学・歴史学の源流とも目され、またドイツの政治的保守主義の代表者ともみなされるユストゥス・メーザーの研究。完結にして要を得た伝記、メーザーの著作の翻訳(悲劇『アルミニウス』、『オスナブリュック史』序文、フリードリヒ大王への批判『ドイツの言語と文学について』)、および、ゲーテとの関係・日本でのメーザー受容との関係を視点に据える独自研究からなる。メーザーの極めて多様な側面を完全に知るためには、もちろん著作を読むことが重要であろうが、この研究書と『郷土愛の幻想』の邦訳によって、中心的な要素はひと通り知ることのできる地盤が整えられている。政治や歴史の分野でフランス革命の孕む問題や単純な近代礼賛が批判されるようになって久しいが、その批判の基準を考えるうえでも、常に物事を歴史を軸に据えてものを考え続けたメーザーの思考形式は豊かな可能性を持っているだろう。本書はそのような可能性に気づかせてくれるはずである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2014年1月14日
読了日 : 2014年1月14日
本棚登録日 : 2014年1月14日

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