真説「陽明学」入門 第2版: 黄金の国の人間学

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  • 三五館 (2003年10月1日発売)
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「真説「陽明学」入門」 私は、一応、なんちゃって法学部
出身。ですが、六法全書が苦手でした。
大学三年生のときに選んだゼミも、「法社会学」という
傍流(?)の学問。日本人の法意識だとか、社会と規律
みたいなテーマを議論するゼミでした。日本人の組織文化
や思想に関しても触れる機会もありましたが、仏教や儒学
が日本人のメンタリティに与える影響など、今でも時々
面白く感じたりします。

そんな日本人に大きく影響を与えた学問的思考の一つに
「陽明学」というものがあります。この本は、そんな
「陽明学」の解説書。

正直、この本を読むまで、私は「陽明学」をまったく
知りませんでした。。。
学生時代に日本史を学んだヒトには常識なのでしょうか?
この本を読んで、新しい世界感を知る事が出来きました。
「平成」という元号も、昭和の政財界に大きな営業を与えて
きた陽明学者である安岡正篤氏が名付けたそうですね。

中国の明朝時代、王陽明が、様々な挫折や苦難を乗り越え、
悟り、体現してきた学問が陽明学です。著者によれば、
陽明学を一言で表現するならば、

「万物一体の考え方を理解し、心の中の葛藤をなくし、
不動心を確立する教え」

ということになります。

「理」は自分の心の中にある。知識を学ぶだけでなく実践
しながら、ヒトが生まれながらにして持っている神的な
道徳的な知能を磨き、良知に至るべし。
こうした、「心即理」「知行合一」「事上磨錬」「至良知」
などの考え方が陽明学の中核です。

「万物一体」とは、二元論で考えないこと。
主体と客体、理性と感情、知識と行動、理想と現実、、、
誠に、万物一体でモノゴトを捉えるということの難しさを
痛感しますね。心の中は、葛藤と煩悩だらけです、私!
(モノゴト、という表現自体が、すでに万物一体思考に
反するとも言えるかも!?)。

以前、この日記でも紹介したユングの「個性化」「自己実現」
という考え方とも相通ずるものがありますね。

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感想投稿日 : 2012年8月4日
本棚登録日 : 2012年1月6日

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