ホーンテッド・キャンパス 桜の宵の満開の下 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • 角川書店 (2013年4月25日発売)
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本棚登録 : 770
感想 : 55

「月の夜がたり」
体の芯から冷える感覚。
雪女の伝承が彼等の故郷にあった訳はこんな残酷な現実を隠す為だったと思うと、下手な妖怪よりも人間の方が怖いとつくづく思うな。
彼は忘れていただけと言うが、そんな事をし人一人亡くなった事を簡単に忘れられるのかと疑問には思うが忘れなくては心が持たなかったのかもしれないな。

「覗く眼」
何処にでも現れる。
突然こんな現象に出会ったら誰でも知り合いよりも過去の出来事や、自分が何処かで憑けてしまった者による現象だと思ってしまうだろうな。
自分と彼を引き合わした彼女を恨む気持ちは分からなくはないが、軽率に彼の性格などを知らず着いて行った彼女も彼女だと思ってしまうけれどな。

「なきぼくろのひと」
豹変した態度と困惑の日々。
自分自身が思ってもいない事を急に自分がやっていたら誰でも混乱するだろうし、過去の記憶を頼りにし原因らしきものがあればそれが真実だと疑わないだろうな。
彼女には本当の事を伏せたままなのか分からないが、彼等にとって最善の策を早期にとれたのは良かったと思っていいのだろうか。

「白丁花の庭」
人為的に起こされた現象。
理不尽に怒られ尚且つ圧力をかけ無茶を言う人物が嫌いになるのは当たり前の事だが、今回ばかりは備品の破壊や虚偽の申告など少しやり過ぎな気がするな。
相手の為を思い全ての家事を請け負っていたのかもしれないが、よく良く考えればもしも自分が居なくなった時何も出来ない人間を作ってしまうのだよな。

「水辺の恋人たち」
なんとなく足が向かってしまう。
事実を捻じ曲げて伝えられたうえに大切な人にも裏切られたとなったら、悪霊になり兎に角誰でもいいから同じ目に合えと思ってしまうのかもしれないな。
メールをと上手くいい外に出た時には既に彼女は彼女で無くなっていたのかもしれないが、無事に彼女を取り戻す事が出来て良かった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 櫛木理宇
感想投稿日 : 2019年6月14日
読了日 : 2019年6月14日
本棚登録日 : 2019年6月14日

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