死国 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (1996年8月22日発売)
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本棚登録 : 1051
感想 : 99
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角川ホラー文庫強化月間。またホラーじゃないし。

多分この作家(故人なのね)の代表作。死の国への禁断の扉を開いてしまって…という、神話や西洋ファンタジー風の作品。

ただ、始まってから8割くらいは何も起こりません。ひたすら起伏のない展開で、純文学のよう。時々挟み込まれる「男」「シゲ」の視点で何か展開をしたいようで、ほとんど話は進まない。

そういうスタイルも有るよなあと思っていたのだが、一番のクライマックスでは単にメチャクチャになっただけだった。どうやら、語彙力が足りていないようだ。

全体に、だれをキーに話を展開させたいのかが曖昧で、キーとなりうる人物は隠居していたり入院していたりほとんど姿を見せなかったりと、配置の悪さばかり目につく。

本筋の死者の国も、ファンタジー作品やゲームなどで出てくるような陳腐なものだし、それと絡めたい神話や言い伝えについては、語れる人物が一人しかいない。半村良の文章のほうが魅力的だ。

岩井志麻子「ぼっけえ、きょうてえ」のはやった時期で、高知弁が新鮮だったのかね。今となっては、退屈な作品としか思えないわけで。

余談。
「鈍色(にびいろ)の空」という表現、女性作家の常套句だけど、これが出てくるだけで「語彙力がないのかな」と疑ってしまう。中二病ワードの一種なのかと思いますが。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ファンタジー
感想投稿日 : 2015年8月26日
読了日 : 2015年8月25日
本棚登録日 : 2015年8月25日

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