角川ホラー月間。
旦那が家に帰らず勝手にマンションを借りているが女の影はない、隣の家の窓から謎の笑い声と乳児のような子供が覗いている。そんな中上司中沢から「天使っていると思う?」と聞かれる。児童虐待と謎の天使たち。そこに保健婦丸山の過去の体験ながオーバーラップする長編。
世間ではホラーというカテゴリになるだろうが、ミステリやサスペンス色が強い作品である。ほとんどが情景描写ではなく、人から聞き出すという形になるので、丸山さんは喫茶店ばっかりに言っているというのがやや不満。
しかしながら、児童虐待と存在していると思われる天使と事件との関係が後半になるに伴い繋がっていく。その過程で過去の実際の事実の引用などがされ、それらしく組み上げられていく部分は、SFやホラーの作品群の中でも、よくできている方なのではないかと思われる。
角川ホラー向けに終盤でカタルシスというよりも、はっちゃけた展開で軽くになるけれども、もう少しひねれば篠田節子みたいになったかもしれない。
また、いつも不満なあとがきであるが、本作品については、本編を語るでもなく児童虐待の現状というところを書いていただけなので、いらんこと感は薄かったが、別にいらんのちゃうんかな?
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ホラー
- 感想投稿日 : 2018年8月9日
- 読了日 : 2018年8月9日
- 本棚登録日 : 2018年8月9日
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