月の影 影の海 (上) 十二国記 1 (新潮文庫)

4.32
  • (717)
  • (494)
  • (213)
  • (16)
  • (4)
本棚登録 : 4747
レビュー : 410
著者 :
制作 : 山田 章博 
地球っこさん 日本文学:著者あ行   読み終わった 

何年も前に挫折した物語。
読むのが苦しくて怖かったから。
数々の裏切りに胸が張り裂けそうになり、孤独な戦いに息苦しくなったから。
でも、みなさんのレビューを読んでみたら、上巻はしんどいけど頑張って下巻まで読んで欲しいとの感想がたくさん。そこで、もう一度読んでみることにした。
今回は、ちゃんと最後まで読めたし、この世界観にどっぷりはまり込むことが出来た。
突然自分のいる世界が180度変わってしまった陽子。そこでは生き抜くためには剣を振るわなければならない。妖魔とはいえ自分の手で相手を殺す。時には人間に剣を向けなければならない時もある。辛い旅の途中、出会った人々の優しさに涙が溢れることもあるけれど、その涙はすぐに裏切りという絶望への涙へと変わることになる。ついには、本当の優しさを与えてくれた(かもしれない)人からも、自分から距離を置く。
「絶望」と「死」がいつも陽子にべったりと張り付いているようだった。それでも、陽子は生き抜くことを自ら選び取る。
元いた世界での陽子と、地図にない国、巧国での陽子。ただ漠然と生きているだけだった世界と、自らの手を血で汚しながら生き抜くことにしがみつく世界。
帰りたいと願う世界には、陽子のことを本当に心配して待っていてくれるものはいなかった。だからといって、今いる世界では孤独と裏切り、ひもじさや怪我の痛みで立ち上がることも出来ない。
なんて酷い試練が陽子に降りかかっているのだろう。なんで陽子だったのだろう。
これでもかというほどに、陽子に絶望を与える、この意味は何なのだろう。
冷たい雨の中、涙も涸れたまま倒れ込んでいる陽子にとって、この夜が与えてくれるものがゆるやかな死となってほしくはない。
でも、この先に全然光が見えずに上巻が終わってしまった。
どこに帰るつもりだったのだろう。

レビュー投稿日
2018年8月18日
読了日
2018年8月18日
本棚登録日
2018年8月18日
9
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『月の影 影の海 (上) 十二国記 1 ...』のレビューをもっとみる

『月の影 影の海 (上) 十二国記 1 (新潮文庫)』のレビューへのコメント

chikako0420さん (2018年10月17日)

こんばんわ。いつもお世話になっとりますchikako0420です。コメントありがとうございます!十二国記は表紙絵を担当している山田章博氏の可憐な絵に惹かれて買ったのですが中身はとても心に痛みを感じる内容で上巻しか読んでないのです。。。地球っこさんのレビューをみて最後まで読む勇気が出ました!ありがとうございます!

地球っこさん (2018年10月17日)

chikako0420さん、おはようございます♪
コメントありがとうございます!
山田章博さんの表紙絵は、繊細で美しいで
すよね。本屋さんで平積みされていると、
とても目が惹きつけられます。
chikako0420さんのおっしゃるとおり、
上巻はとても苦しくて、わたし一度挫折
してます……でも、絶対下巻を読んでみて
との沢山のレビューに励まされ下巻、読ん
でみました。chikako0420さんも、ぜひぜ
ひ下巻お手に取ってください。
読んでよかったぁとなると思います。
陽子の運命が一気に回りだしますよ(*^^*)

コメントをする場合は、ログインしてください。

いいね!してくれた人

ツイートする