寡黙な死骸 みだらな弔い (中公文庫)

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本棚登録 : 1772
レビュー : 211
著者 :
地球っこさん 日本文学:著者あ行   読み終わった 

綺麗で透明な毒を持つ物語です。
本来、毒とは浄化するべきものなのかもしれません。危険な毒は人々に死を与えることもありますから。それでも真っ白で純粋なものだけが尊ばれ大切にされる世界の中で、毒は滅びることなく人々の心の中でひっそりと息づいているのです。
運命の鎖で繋がれたような短編集でした。
それぞれの物語の中に一粒の毒の種が埋め込まれ、その種が芽を出し花を咲かせ、また種を落とす……そうやって毒の連鎖が連なっていきました。
小川洋子さんの作品には、硝子の欠片のような冷たくて美しい毒が、静寂な文脈の間に潜んでいます。この毒はいつの間にか、物語の中から弦を伸ばし読者の心に甘い蜜を垂らしていきます。そうして魅惑的な毒の虜になってしまったら最後、小川洋子さんの紡ぐ物語から離れることが出来なくなるのです。

レビュー投稿日
2018年5月2日
読了日
2018年5月2日
本棚登録日
2018年5月2日
7
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