相模原障害者殺傷事件 (文庫)

  • 朝日新聞出版 (2020年7月7日発売)
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 その事件は2016年7月26日未明に一人の青年が、津久井やまゆり園に刃物等を所持し侵入して、死亡者19名、重軽傷者26名もの戦後最多の殺傷事件を犯した。青年は、元施設職員の植松聖(30)という。同日午前三時過ぎ、津久井警察に自首し逮捕された。
 彼は小学生の頃、一学年下に一人ずつ知的障害者がおり、低学年の時には作文に「障害者はいらない」と記述していた。
大学の3・4年生ごろ刺青を入れ大麻など薬物を乱用するようになった。
 2016年2月16日、襲撃を示唆する手紙を当時の衆議院議長公邸に提出した。事を重く見た当議長は警察に通報し、身柄を拘束され措置入院をすることになった。
 手紙には何を書かれていたのか?要約すると『私は障害者総勢470名を抹殺することが出来ます(中略)保護者の疲れ切った表情、施設で働いている生気の欠けた瞳、日本国と世界の為と思い、居ても立ってもいられずに本日行動に移した次第であります。私の目標は重複障害者の方が家庭の生活、及び社会的活動が極めて困難な場合、保護者の同意を得て安楽死できる世界です。要望―逮捕後の監禁は最長2年までとし、その後は自由に人生を送らせてください。美容整形による一般社会への擬態。金銭的支援5億円。』(意味不明!)通報は適切な対処だと思うが、措置入院から解放された同日、医師の証明書をハローワークに提出し、失業給付を受領し、生活保護受給を申請し給付を受けた。☆
 2020年1月8日に初公判。裁判中の模様や、裁判前に記者が被告と面会し、遺族や被害者の口頭陳述で犯行を非難したが、被告の様子に違和感を覚えていた。
 被告が遺族等に対し、謝罪しているが、亡くなった方には、代理弁護士と論争を繰り広げ、被告の論理が破綻しても謝罪には至らず結審した。判決は2020年3月16日死刑宣告、控訴期限は2週間、3月31日死刑確定。
 最後に、僕自身の違和感についてー被告人と代理弁護士の論争の争点が被告人の主張と一致していない。本当の争点は、彼等(重複・重度障害者)が人かということ。被告人は、意思疎通が出来ない人は、人間ではないと言っている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2020年8月16日
読了日 : 2020年8月16日
本棚登録日 : 2020年7月31日

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