現代小説クロニクル 1995~1999 (講談社文芸文庫)

  • 講談社 (2015年6月11日発売)
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本棚登録 : 33
感想 : 3

『現代小説クロニクル』アンソロジー、5冊目は1995年〜1999年に発表された短編を収録。
川上弘美の芥川賞受賞作、『蛇を踏む』が収録されていた。タイトルに惹かれて単行本を買って、一読したときの衝撃を今でも覚えているが、もうそんなに時間が経ったのか……。流石に最初の衝撃はもう無いが、川上弘美は、この頃から完成されていたのかなぁとも思う。

黒井千次『声の巣』は留守番電話を重要なモチーフにした短編。主が不在の部屋で、勝手に入り込んだ友人たちが、留守番電話の録音を、これまた勝手に聞く……という、ちょっと不思議なシチュエーションでストーリーが進む。全編に漂う不穏な空気が不思議と記憶に残る。
不穏といえば角田光代『学校ごっこ』もそうで、小学生同士、そこに担任教師も交えた人間関係の持っている、緊張感と今にも崩れそうなバランスにハラハラする。
阿部和重『無情の世界』の、何処までが本当で、何処までが『ネタ』なのか解らないところも面白い。

全体的に本巻は、ちょっと懐古的な『純文学』と、インターネット黎明期を前にした現代的な作品が入り交じった構成になっているように思う。
全8巻予定だから残りは3冊か。これが完結したら、『戦後短篇小説再発見』の11巻以降を復刊して欲しい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年6月13日
読了日 : 2015年6月13日
本棚登録日 : 2015年6月10日

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