短編作家として有名なスティーヴン・ミルハウザーの初期長編。
ミルハウザーは本質的に短編作家だと思っているが、長編も緻密に形作られていて、こういうタイプの作家は珍しいのではないか。
本作では後に諸短編でも扱われた様々なモチーフが登場する。特に『夏の夜の徘徊』は作中でも印象的に用いられていて、夜の散歩が持つ不思議な魅力がこなれていない分、よりダイレクトに伝わってくる。また、濃厚で緻密な描写も魅力的で、些かくどいように感じられるほど繰り返される。
『訳者あとがき』を見ると、未邦訳のものがけっこう残っているので、また近いうちに刊行されて欲しい。
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- 感想投稿日 : 2015年9月27日
- 読了日 : 2015年9月27日
- 本棚登録日 : 2015年9月24日
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