煉獄の使徒 下 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2022年4月21日発売)
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本棚登録 : 63
感想 : 2
3

事実は小説より奇なり…かな、と思いながら読み進めました。平成の暗黒史である、オウム事件。ぼくらが“体験した”その恐ろしさ、マスコミの扇動、そして、彼らを“人間”として語ることがタブーだった時代の空気。水面に浮かぶ、そんな表層的な事実の根っこにストーリーを加え、関係する人々の心情を抉り取ろうとした快作だと思う。ノアール小説の巨匠だからこそ、そしてそう言われるからこそ、あの事件の加害者たちの心情をつかもうとするのは、使命にも似たものだったのかもしれない。当事者たちは死刑になり、僕らはあの事件から何も学べなかった。だからこそ、こんな“フィクション”は大きな意味を持っている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2022年7月6日
読了日 : 2022年6月5日
本棚登録日 : 2022年7月6日

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